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ジャズをリフレッシュする面々の作品と関連盤を紹介!

NUBYA GARCIA 『Nubya’s 5ive』 Jazz re:freshed/Pヴァイン(2019)

人気サックス/フルート奏者がJRの〈5ive〉シリーズから届けた初のリーダー作。ダニエル・カシミールとジョー・アーモン・ジョーンズ、モーゼス・ボイドら現行シーンの顔役たちを従え、マッコイ・タイナー“Contemplation”も含むグルーヴィーでスピリチュアルな熱演を披露する。〈UK版カマシ・ワシントン〉との呼び声にも納得の重要盤だ。

 

DANIEL CASIMIR 『Escapee』 Jazz re:freshed(2017)

敏腕ベーシストが実績を踏まえてリリースした5曲入りの初EP。仲間のモーゼス・ボイドとジョー・アーモン・ジョーンズ(エズラ・コレクティヴ)、シャーリー・テテ(ネリヤ)という豪華なメンバーが揃い、オープニングの表題曲から深いアンサンブルを聴かせる。しっとりした“Really For Always”など3曲でテス・ハーストがヴォーカルを担当。

 

TY 『Work Of Heart』 Jazz re:freshed(2018)

ビッグ・ダダから登場して名を馳せ、残念ながらCOVID-19のため5月に逝去したロンドンのラッパーがJRに残した最後のアルバム。ウマー・ビン・ハッサンやジェイソン・ヤードを招き、ジャジーでオーセンティックなサウンドを展開する。かつて共演した流れでエズラ・コレクティヴのジェイムズ・モリソンとディラン・ジョーンズも演奏に参加。

 

ROSIE TURTON 『Rosie’s 5ive』 Jazz re:freshed(2019)

〈5ive〉の現時点での最新弾は、ネリヤで活躍するトロンボーン奏者のEP。ジョー・アーモン・ジョーンズ作品で知られるマクスウェル・オーウィンがプロデュースを手掛け、ヴァイオリンも配してアンビエントな空間を織り上げている。ハービー・ハンコック“Butterfly”を除く4曲がオリジナルで、ルーク・ニューマンの語る“Stolen Ribs”が幻惑的。

 

TRIFORCE 『Triforce 5ive』 Jazz re:freshed(2016)

ユセフ・カマール周辺で演奏し、ブラック・フォーカスにソロ作も残すマンスール・ブラウン(ギター)を含む4人組のEP。サンダーキャットらへの関心を共有して集まったバンドらしく、爽快な“Red Lagoon”からカイディ・アキニビのサックスが吹き荒れる“Elijah’s Remedy”まで、ブロークン・ビーツ味もある今風のフュージョンが心地良い。

 

TROPE 『Trope 5ive』 Jazz re:freshed(2017)

シード・アンサンブルの別掲作やカミラ・ジョージの録音でも歌うシェリース・アダムス・バーネットがフロントを務めた5人組ジャズ・ファンク・バンド。こちらは自主リリースした『Butterflies & Dragons』(15年)に続く2枚目のEPで、ブランニュー・ヘヴィーズ風の編成からも想像できる洒落たグルーヴを小気味良い演奏で紡ぎ上げている。

 

VARIOUS ARTISTS 『We Out Here』 Brownswood(2018)

ジャイルズ・ピーターソン主宰レーベルが現行ロンドン・ジャズの気運を素早くパッケージしたコンピ。ディレクターを務めるシャバカ・ハッチングスのソロ名義曲から、ヌビアのソロ、マイシャ、テオン・クロス、トライフォース、アルバムが待ち遠しいココロコまで、最注目アクトの熱気溢れる録り下ろしでUKジャズの転換点を記録した重要盤だ。

 

ASHLEY HENRY 『Beautiful Vinyl Hunter』 Sony(2019)

JRに『Ashley Henry’s 5ive』(16年)を残し、ザラ・マクファーレンやロイル・カーナーのサポートも務めるピアニストがメジャーから放ったフル・アルバム。ダニエル・カシミールら身近な仲間を中心にUS勢も交え、キーヨン・ハロルドを招いて送る“Between The Lines”や、上品なソランジュ“Cranes(In The Sky)”のカヴァーが聴きもの。

 

MOSES BOYD 『Dark Matter』 Exodus/インパートメント(2020)

ビンカーやテオン・クロスらを従えたエクソダスでのアルバムに続く初のソロ名義作。ドラマーらしくリズム・アプローチが多彩で、ダブステップ風のプログラミングがシブい“Stranger Than Fiction”での導入から、UKガラージっぽい“2 Far Gone”、ブロークン・ビーツの歌モノ“Shades Of You”などの聴き心地も新鮮な名作だ。

 

YAZZ AHMED 『Polyhymnia』 Ropeadope(2019)

レディオヘッドや松浦俊夫グループらの録音に参加し、ナイームからの『La Saboteuse』(17年)も好評だったトランペット/フリューゲルホルン奏者が米ローパドープで発表したリーダー作。サイケでアラビックな情緒を湛え、ヌビアとシャーリーのマイシャ組やサラ・タンディ、ココロコのシーラらを交えた重層的なスピリチュアル空間が広がる。

 

MAISHA 『There Is A Place』 Brownswood(2018)

ヌビア・ガルシアやシャーリー・テテを擁し、『We Out Here』への登場で話題の存在となった気鋭のセクステットも最初のEP『Welcome To A New Welcome』(16年)はJR発だった。このファースト・フル・アルバムでもエジプト神話をモチーフにした“Osiris”をはじめ、スピリチュアルで洗練された壮大な音絵巻を描いている。

 

BLUE LAB BEATS 『Xover』 Society Of Sound/Pヴァイン(2018)

ビートメイカーのNK-OK(D・インフルエンスのクワメの息子)とマルチ演奏家のDMによるコンビの初作。当世流のジャズとクラブ・サウンド的なジャズを融和した作風で、ヌビアやモーゼス・ボイド、ダニエル・カシミール、アシュリー・ヘンリー、ネリヤ、トライフォースのメンバーなどJR人脈も含む豪華な演奏陣がクロスオーヴァーする快作だ。

 

JOE ARMON-JONES 『Turn To Clear View』 Brownswood(2019)

エズラ・コレクティヴでの活躍など現行シーンを象徴するピアニストのソロ2作目。前作同様に盟友マックスウェル・オーウィンとの共同制作で、オスカー・ジェロームやヌビアら盤石の編成がダブやアフロの融和したディープな眺望を立体化していく。アシェバーやジョージア・アン・マルドロウとのコラボが連なる序盤からハイライトだらけ。

 

CAMILLA GEORGE 『People Could Fly』 Ubuntu(2018)

トゥモローズ・ウォリアーズ出身のサックス奏者によるリーダー作。ダニエル・カシミール、サラ・タンディ、フェミ・コレオソという前作『Isang』でのクァルテットにシャーリー・テテらも交え、アフロ~ラテン風味の彩りを見せる。オマーが歌うカーティス・メイフィールドの“Here But I’m Gone”などには90年代からの伝統も薫ってきたり。

 

SHABAKA AND THE ANCESTERS 『We Are Sent Here by History』 Impulse!/ユニバーサル(2020)

当世UKジャズのカリスマによる最新作は、サンズ・オブ・ケメットやコメット・イズ・カミングでの近作と同じくインパルスからのリリースに。ブラウンズウッド発だった前作『Wisdom Of Elders』に続き、ルーツのアフリカを通じてコルトレーンやファラオ・サンダースらのスピリチュアルな側面を継承している。