コラム

Tokyo Zawinul Bach・Reunion『20th Anniversary Live』20年の歩みがもたらした東京ザヴィヌルバッハの独創と円熟を一夜に凝縮

Tokyo Zawinul Bach・Reunion『20th Anniversary Live』20年の歩みがもたらした東京ザヴィヌルバッハの独創と円熟を一夜に凝縮

20年のたゆまぬ歩みがもたらす独創と円熟

Tokyo Zawinul Bach・Reunion 『20th Anniversary Live』 APOLLO SOUNDS(2020)

 〈結成20周年記念ライブ〉の謳い文句を目して感慨と驚嘆が斑になった不思議な気分を味わった。そうか東京ザヴィヌルバッハも20年にもなるのか、と。東京ザヴィヌルバッハが作曲家、鍵盤奏者の坪口昌恭のリーダーユニットであるのは本誌読者にはいうまでもない。ただしくは、坪口が当時から現在にいたるまで番頭役をつとめるDC/PRGの主幹である菊地成孔と語らってグループをたちあげたのは1999年1月なので当年とって21歳である。その編成と音楽性には歴史の長さなりの変遷があるが、(ポリ)リズムを概念格子に水平垂直両軸にまたがる音楽的建造物を、ジャズの即興性を活かし構築する方法上の主題に大きな異同はない。初期には自動シーケンサーソフト〈M〉の生成するリズムのパッチワーク上で鍵盤ないし管楽器がすべるような演奏をくりひろげる体裁で、私は彼らの作品を耳にしたのは2002年の3作目『クール・クラスター』が最初だが、そのときの鮮烈な印象はクラスターなるタームが人口に膾炙したいまでも褪せる気配はない。新世紀以降、テクノ(ロジー)とジャズを融合する試みは洋の東西を問わず、無数のトライアルがあったが、意匠にとどまらない問題提起にいたったのはあのフューチャー・ジャズなる分野をもってしても数少ない。時代はさらにくだり、フュージョン復古やビート・ミュージックなど、時々刻々と変化するジャズ環境にあっても同断だが、やがて迎えた2019年9月12日夜の20周年記念ライブでは東京ザヴィヌルバッハこと坪口昌恭はその構想と演奏が独創と円熟の域に達したことを示すことになる。この日はリユニオンの名称を冠し、盟友菊地成孔と、初期に在籍した五十嵐一生が、2010年代以降、バンド編成に生まれ変わった本体に復帰し代表曲の数々をとりあげるので昔なじみには過去作と聴き較べる楽しみもある。“12 Special Position”“Poly Gravity”に結晶化したプロジェクトの構想と、石若駿を加えた“New Neuron”あたりはとりわけスリリング。菊地成孔がマイクを手にする“Drive Inn High”は次の20年へのセレブレーションである。

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