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ブルーノート自体の81年目はどうなってる?

 もちろん、81年目に入った2020年もブルーノート自体のリリースは活発だ。前年には当代きってのスターとなるケンドリック・スコット・オラクルの『A Wall Becomes A Bridge』や、マカヤ・マクレイヴンらと演奏してきた若きヴィブラフォン奏者ジョエル・ロスのデビュー作『Kingmaker』といった話題作も送り出していたものだが、周年的な話題という点で言えば、2019年10月で生誕100周年を迎えたアート・ブレイキーの未発表音源集『Just Coolin'』(59年の録音)が今年に入って発掘されるというトピックもあった。

 一方ではプスンブーツとノラ・ジョーンズの新作、キャンディス・スプリングスのカヴァー集といった安定のポピュラー作品もコンスタントに届き、シャバカ・ハッチングスのアンセスターズに参加するンドゥドゥゾ・マカティーニのスピリチュアルなリーダー作という新展開も(ブルーノートで初の南アフリカ人アーティストだそう)。さらにはオーセンティックなジェラルド・クレイトン、近年のレーベル・カラーをアップデートしてきた立役者となるデリック・ホッジやアンブローズ・アキンムシーレ、グレゴリー・ポーターもそれぞれ充実の作品をリリース。先述の『Kingmaker』に参加していた若手サックス奏者、イマニュエル・ウィルキンスのデビュー作『Omega』も届いていて……多種多様ながらも老舗の風格は健在なのである。 *香椎 恵