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【天野龍太郎】

藤井 風 “へでもねーよ”

青春病”と同時に発表された藤井 風の新曲には、まずヘヴィーでエレクトロニックなプロダクションとアグレッシヴな歌に度肝を抜かれました。かと思えば、ピアノとストリングスの柔らかいパートが差し挟まれ、その対比にまたびっくり。重層的な楽曲です。プロデューサーは、あのYaffle。この“へでもねーよ”にしても、“何なんw”や“もうええわ”にしても、日本語、特に口語の響きやリズムを歌に転化することにおいて、藤井 風は天才的なセンスを持っていると思います。すごすぎる。配信リンクはこちら

ところであまりメディアに露出しない彼ですが、9月に放送された「報道ステーション」のインタビュー映像には胸を打たれました。こちらのドキュメンタリーからも、彼の人となりが伝わってきます。

 

瑛人 “ライナウ”

“香水”の瑛人が、ファースト・アルバム『すっからかん』を2021年1月1日(金)にリリース。待望の新曲は、なかなかどうして心地いいカントリー/フォーク・ロック調の素朴なアレンジ。ノスタルジックで、とにかく心優しい人柄が伝わってくるようなリリックもいい(私は彼のTwitterが好きです)。配信リンクはこちら

 

Rainych “Mayonaka no Door / STAY WITH ME”

“Say So”の日本語カヴァーで世界的なスターになったインドネシアのRainych(一時期、あのカヴァーをずっと聴いていました)。彼女の新曲は、なんとシティ・ポップ・クラシック、松原みき“真夜中のドア/STAY WITH ME”のカヴァー。もはや邦楽なのか洋楽なのか、さらにはいまがいつの時代なのかもわからなくなってくる。とにかく、彼女の歌がめちゃくちゃ好きです。配信リンクはこちら

 

a子 “青”

2020年に出会った新しいアーティストのなかでも、とりわけ衝撃的だったのがa子でした。この新曲も、歌、メロディー、プロダクション、詞、なにもかもがすばらしい。TOWER DOORSのインタビューもぜひチェックを。配信リンクはこちら

 

玉名ラーメン「ก₍⸍◕ㅅ◕⸌₎ค*:・*:・゚✧ (¸.·’* (¸.·’*」

ライブ・イベント〈エム・レコード presents『S.D.S =零=』Release Party Program〉のために発表された、玉名ラーメンの9分強のライブ・セット。なにより映像がクールです。

 

果樹園 “중추완월 | 中秋玩月”

ミヤオウ&Mellow Blushのデュオ、果樹園による楽曲第3弾。英ロンドンのレーベル〈seasonal signals〉によるコンピレーション『Autumn is Here』の収録曲です。ものすごくユーフォリックでドリーミーでアトモスフェリックなビートと歌。虫の鳴き声などが入っているのも、風通しがよくていい感じ。『Autumn is Here』にはwai wai music resortのエブリデや果樹園のMellow Blushも参加しているので、要チェック。Bandcampで販売中

 

【鈴木英之介】

Tomato Ketchup Boys “Tilt”

ニュー・アルバム『The First Encounter Of This Odyssey』のなかから、個人的なフェイヴァリットを。オアシスの“Rock 'N' Roll Star”を思わせるイントロから、美しく爽快なメロディーと分厚いギター・サウンドが怒涛のように押し寄せてきて、たちまちノックアウトされてしまう。11月7日に新代田Feverにて開催されたワンマン・ライブでの、熱に満ちたパフォーマンスも素晴らしかった彼ら。今後もあくまでインディー精神を貫きながら活動していくとのことで、さらなる活躍に期待したい。

 

青葉市子 “Porcelain”

まるでジョニ・ミッチェルの作る曲のようにモーダルで不思議な和声進行、生楽器の音色が活かされた浮遊感あふれるアレンジ、そしてどこか彼岸的な存在感(非存在感?)を持った青葉市子の声。それらに身を委ねていると、自分の現在地がどこなのか、だんだんわからなくなってくる。だがその不安の感覚は、決して不快ではない。むしろそれは、自分を縛るあらゆるものから解放されたかのような、伸びやかな気分をもたらしてくれる。重力に支配された日常に嫌気がさしたら、ぜひ一聴を。

 

polly “Slow Goodbye”

ニュー・アルバム『Four For Fourteen』からの一曲。ホーリーなコーラスに導かれるようにして、甘く優しい歌声と流麗なメロディー・ラインが現れる。やがて分厚い音の壁と、ほのかにインダストリアルがかったアレンジが、それを包み込みはじめる。その音世界は美しいが、同時にどこか不穏でもある。だがそもそも美しさが永続的でありえないものだとすれば、不穏さ・不安定さはその本質だと言えるのかもしれない。そんなことを考えさせられた。

 

【小峯崇嗣】

Madness Pin Drops “Mellow Yellow”

新鋭レーベル〈makran〉所属、Madness Pin Drops のファーストEP  『Interference』からご紹介。脆く壊れてしまいそうなダークな電子音楽とトラップ・ビートが折り重なったサウンドに、朧気だが妖艶で優美な歌声がメロディアスに歌い上げる新感覚なR&Bソングです。Madness Pin Dropsには、TOWER DOORSのメール・インタビュー〈6つの質問〉に答えてもらっています。こちらもぜひチェックしてみてください。

 

ぷにぷに電機 “さよならの楽園”

ネットを中心に活動するシンガー兼音楽プロデューサーである、ぷにぷに電機が新作『電子DISCO 密林』をリリース。そのラストの収録曲から“さよならの楽園”をご紹介。切なくも優しく心に寄り添う温かい歌詞をビタースウィートで魅惑的な美声によって紡がれる一曲。儚く繊細なタッチで奏でられるサウンドと渋くジャジーな管楽器が交錯する間奏も含め、驚きの楽曲に仕上がっています。

 

オレモリカエル “パイオニア(feat. KTY)”

フルート、ピアニカ、トロンボーン、壺などの多彩な楽器を奏でるメンバーが所属する男女11人編成のバンド、オレモリカエルの“パイオニア”をご紹介。バンジョーとアコギの、のどかで温かいカントリー系のメロディーと慎ましやかで幸福感溢れる美声に包まれる一曲。この楽曲にはMONJU N CHIEのKTYが中盤から登場し、ゆったりとした曲調にほどよく脱力したラップがマッチしています。

 

TORAUMA “blue frost” 

青森出身、現在は沖縄のクルー〈604〉に所属するラッパー、TORAUMAの“blue frost”をご紹介。透き通るような淡い青さの色合いを感じるシンセ・サウンドと、ジャジーなビートが絡み合うトラック。そこに力強いフロウで、自分の悩みや葛藤、意志をリリックに落とし込んだ一曲です。先日ファースト・アルバム『Sternbergia』をリリースすると発表。日にちや詳細は後日発表するとのことです。