楽聖生誕250年の掉尾を飾ると言っていい出色の一枚。パユを主役とし、バレンボイムがピアノで支え、コンマスの樫本大進を始めとするベルリン・フィル、ウィーン・フィルの首席たちが集う語らいには、安らぎが満ち、くつろぎと信頼が横溢する。パユ自らフルート・ソナタに編曲したヴァイオリン・ソナタ第8番での陰翳。7楽章からなる“セレナード”作品25の爽やかな清々しさ。第4楽章ではひと際音楽に気品が加わる。パユ、カレッドゥという両フィルハーモニカーの首席が揃い踏みとなる二重奏曲の鈴鳴るような美しさ。初期作品中心ながら素晴らしい演奏によって、明朗で表情豊かなベートーヴェンが浮上した。