ピアノによるテーマから怒涛のドラミングとパーカッションで始まる“X. Adjuah”、音符が詰め込まれたリズムの中にクリスチャン・スコットの鋭いトランペットが異次元へと誘う冒頭から既に盛り上がりは最高潮。コロナ禍での休業直前に、ブルーノート・ニューヨークでステージが録音された本作は、歴史的な転換期における貴重な記録だ。ライブでしか味わえない熱気やグルーヴがそこにはある。演奏者と観客が一体となって作り出すその場限りの空間。本作はそれが素晴らしい状態でパッケージされているが、現場でこれを体感出来ていたらどれほどのものだったのだろうか。