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Peach Tree Rascals “OOZ”

天野「新形式は、曲をたくさん紹介できるのがいいですね。6曲目です。ピーチ・トゥリー・ラスカルズの新曲“OOZ”。ピーチ・トゥリー・ラスカは、サンフランシスコ・ベイアリア出身の5人組。クリエイティヴ・ディレクターがメンバーにいることをふまえると、バンドやユニットというよりコレクティヴというほうが適切かもしれません。2019年の楽曲“Mariposa”TikTokでヒットしたことで人気になりました」

田中「この“OOZ”も“Mariposa”も、爽やかさのなかにちょっとおセンチなムードが漂う、いかにも西海岸然としたポップですよね。ヨット・ロックやウェスト・コースト・ヒップホップ、サーフ・ミュージック、サイケデリック・ポップなどが溶け合ったサウンドですが、どの要素も濃すぎず、とてもあっさりとしていて聴きやすい。いい意味でルーツ性が希薄なサウンドですが、それにはメンバーのほとんどがパレスチナやフィリピン、メキシコなどからアメリカに来た移民二世であることも関係しているのかな。今後、日本のラジオなどでもヘヴィー・プレイされそうな注目のグループです」

 

Fat Ray “The One”

天野「デトロイトのヴェテラン・ラッパー、ファット・レイの“The One”。ブルーザー・ブリゲイド(Bruiser Brigade)からリリースされた『Santa Barbara』の収録曲です。ブルーザー・ブリゲイドは僕が注目しているレーベルで、近年コメディーやトークでも活躍する異才ダニー・ブラウンが中心になっている地元デトロイトのコレクティヴから発展したものなんです。1月にBandcampでJ.U.Sの『GOD GOKU JAY​-​Z』をリリースして、それに続く第2弾が、ダニー・ブラウンがエグゼキューティヴ・プロデューサーを務めたファット・レイの『Santa Barbara』。いずれも傑作!」

田中「“The One”はとにかくヘヴィーでダーティーなブーンバップで、同じデトロイトのプロデューサーであるクリスファントム(Crisfantom)のビートが超かっこいい。ファット・レイの脂の乗ったライミングも迫力十分で、〈誰もがザ・ワン(唯一無二の存在)になりたがっている/みんな俺のことをザ・ワンと呼ぶ〉というボースティングが様になっています。〈黒い侍、No.1〉など、フレーズのひとつひとつがクール!」

 

TRI.BE “DOOM DOOM TA”

天野「TRI.BE(トライ・ビー)は注目のグループですよ。ユニバーサル・ミュージック・グループ初の本格アイドルとしてデビューした韓国発の7人組で、メンバーは韓国出身のヒュンビン、ジナ、ソンスン、ソウンの4人と、台湾出身のケリーとジア、さらに日本出身のミレ、という多国籍な構成です。K-Pop界の人気プロデューサーである〈新沙洞の虎(シンサドンホレンイ)〉ことS.TIGERが、彼女たちのサウンドを作っています」

田中「“DOOM DOOM TA”は、2月17日にリリースされたばかりの2曲入りシングル『TRI.BE Da Loca』からの1曲。これはかっこいいですね! 〈ハーッ!〉という合いの手がパワフルですし、ダンスホール・レゲエっぽいビートと、最近のK-Popの流行である中近東っぽいの音楽やボリウッドなどを意識したオリエンタルな響きのサウンドに興奮します。EDM的な意匠もあいまって、目まぐるしい展開もすごい。TRI.BEを象徴するトライアングルのモチーフが多用されたビデオも必見です」