「オーケストラとの共演、いい緊張感と音の波に触発されます」
17歳でデビューした時から歌唱力の高さを評価されてきた。たっぷりの声量でエモーショナルに歌うデビュー曲“あなたのキスを数えましょう~You were mine~”は、ロングヒットとなり、今も愛され続けている。その曲をフルオーケストラとの共演で熱唱する。
「オーケストラの演奏の圧が音の波となって私の背中に押し寄せてきて、それを感じながら歌うのが楽しくて。バンドの伴奏と違い、ドラム、ベースのリズム隊がいない不安はあるし、実際に苦戦するところもあります。でも、反対にタイトなリズムが存在しないことで、表現の自由度が増すことを知りました。もちろん緊張はしますが、それによって私自身が触発される面もあって、オーケストラとの共演は、クセになります(笑)」
テレビ収録などではなく、コンサートで初めてフルオーケストラと共演したのは2016年のbillboard classics festivalだった。表情などに緊張は見られたものの、自身のヒット曲をオーケストラのアレンジで歌うことに大きな意義を感じているように映った。
昨年6月には単独で、〈小柳ゆき プレミアム・シンフォニック・コンサート〉を行った。「指揮者の栗田博文さんがいろいろ提案して下さって」と言ういろいろにはシンフォニック・コンサートではあまり見られない、出演者と観客のコール&レスポンスが含まれていて、会場は大いに沸いた。
そのコンサートでも自身のヒット曲に加えて、ザ・ピーナッツの“恋のフーガ”や山口百恵の“プレイバック part 2”など昭和の名曲のカヴァーが披露されたが、今年は、なんといってもホリデー・シーズンの12月23日に開催される。ということは、もちろんクリスマス・ソングの名曲もプログラムに組み込まれている。お話を聞いた時点では映画「若草の頃」の劇中歌から世界中で愛されるクリスマス・ソングになった“メリー・リトル・クリスマス”などを予定しているという。
さらに今回は、指揮を務める西本智実さんから「クラシックの楽曲を歌ってみてはどうか」と提案されているそうだ。ご本人は、「未知の世界なので、どうかな……」と躊躇をみせるが、でも、声量があり、歌唱力があり、さらに「デビューから20年、キャリアを重ねるなかで、テクニックを駆使することなく、よりシンプルに歌いたいと思うようになってきた」と語るだけに、クラシックの名曲によって小柳ゆきのどんなところが引き出されるのか、ぜひ聴いてみたい。
オーケストラとの共演で、「歌詞の解釈とかが変わることはないけれど、歌がよりダイナミックに、ドラマティックに変身することが出来る。そこが好きだし、アレンジもそのようにしていただいています。そして、本番前にリハーサルを何度も重ねて得る安定感よりも、最小限のリハーサルにとどめて、ここでしか生まれないライヴ感を大切にしたいと思っています」と話す。その思いがシンガーとオーケストラの新鮮な化学反応を生み出すのだ。今年は、どんなドラマが生まれるのだろうか
LIVE INFORMATION
billboard classics 20th Anniversary 小柳ゆき×西本智実 Premium Christmas Concert 2019
2019年12月23日(月)東京文化会館 大ホール
開演:19:00
出演:小柳ゆき/西本智実(指揮)/イルミナートフィルハーモニーオーケストラ/ソウルバードクワイア(合唱)/小野かほり(ゲストパーカッション)
曲目:“”あなたのキスを数えましょう”“remain~心の鍵~”“be alive”“愛情”“異邦人(カヴァー)”“Have Yourself a Merry Little Christmas” ほか
https://billboard-cc.com/yukikoyanagi2019