ダンス・トラックを軸にしつつさまざまな音楽要素を内包したエクレクティックな音響作品を提案する名匠、フォルティDLことドリュー・ラストマンの4作目。先行カットの“Do Me”や“Danger”あたりの派手めなアップテンポはあるものの、〈くねくねくねくね……〉のループ(空耳)がやたらと耳に残る“New Haven”や、マイルス・デイヴィス風味の“Ahead The Ship Sleeps”、宇宙シンセのアルペジオが現実逃避を誘う“In The Shit”など、デトロイト・ハウス寄りだった前作に比べ、水浴びのように気持ちいいアンビエンスが増強されたチルなムードを構築。その奥で鳴る軽やかなビートはフロアでの陶酔のみならず、ベッドルームに持ち込める浮遊感を兼ね備えており、いろいろ重宝しそうな好盤である。