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アディショナル・トラック
Days of Delightのプロデューサー・平野暁臣が語る『村雨/Murasame』

「僕がこのバンドを最初に聴いたのは(新宿)ピットインで行われた〈竹村一哲2DAYS〉(2019年)の初日で、バンドを組んで2回目のギグでした。まだ完成度も高くなかったし、粗っぽくもあったんだけど、そこが良かった。いい意味での粗っぽさに惚れたんです。だから僕は終演後に一哲くんをつかまえて、〈このまま明日録っちゃおうぜ!〉って言ったんですよ(笑)。こんなにいいバンドを他のレーベルに取られてたまるかってね。まあさすがに彼は〈少し時間をください!〉って言いましたけど。

その後彼らはギグを重ね、結局レコーディングまでに1年半かかりました。その過程でちっちゃくまとまっちゃうと嫌だなあ、と内心で心配していたんだけど、全くそうならなかった。もちろんCDになっているサウンドは、バンドが時間をかけて熟成させたものだから、タイトでスキがないけど、作り込んだ感じは全然ないじゃないですか。良い意味での粗削りなところが残っていて、それが独特のライブ感とダイナミズムを生み出している。それって簡単なようでいて、とても難しいこと。高い技術力と相互信頼がなければできません。さすがです。このバンドは一哲くんの性格もあるけど、一切チマチマしていない。そこがいいんです。

ジャケットのアートワークは、僕の知己でもある日本を代表する書家・柿沼康二。元は一辺が8メートルもある巨大な作品で、その一部をトリミングして使っています。一哲バンドのサウンドって、漢(おとこ)って感じがするでしょう? エネルギー、パワー、情熱、気概……。そういう強くワイルドな精神を表現するなら、墨一色、しかも書き直しの効かない〈書〉が一番だと思ったんです。書は文字通りの一発勝負。考えてみたらジャズに似てるんですよね。しかも飛び散る墨がまさに〈村雨〉のよう。Days of Delightの作品はこれで19タイトル目になりますが、アートワークに書を使ったのはこれがはじめてです」

 


RELEASE INFORMATION

竹村一哲 『村雨/Murasame』 Days of Delight(2021)

リリース日:2021年7月1日(木)
品番:DOD-016
価格:2,750円(税込)

TRACKLIST
1. 村雨
2. もず
3. A
4. Black Bats and Poles
5. RM
6. Spiral Dance
7. Lost Visions

 

LIVE INFORMATION
竹村一哲カルテット『村雨/Murasame』発売記念ライブ

2021年6月24日(木)東京・新宿 ピットイン ※アルバムの先行販売あり
2021年7月16日(金)神奈川・横浜 ドルフィー
2021年7月23日(金)東京・吉祥寺 サムタイム
2021年8月5日(木)静岡・富士 ケルン
2021年8月6日(金)愛知・名古屋 ラブリー
2021年8月7日(土)静岡・藤枝 ボディ&ソウル
2021年8月12日(木) 東京・丸の内 コットンクラブ

■出演
竹村一哲(ドラムス)
井上銘(ギター)
魚返明未(ピアノ)
三嶋大輝(ベース)