マーク・ボランやミック・ジャガーが恋したマーシャ・ハント
マーシャ・ハントはアメリカ人で、モデル、女優、作家でシンガーだ。彼女はサンフランシスコ地区で育ち、ヒッピーのライフスタイルを享受。UCバークレーに在学中はデモ活動にも参加していた。96年に渡英し、女優兼バック・コーラスとしての活動を開始する。また、彼女はジョン・メイオールと短期間だが恋愛関係にあった。メイオールは彼女との関係から、アルバム『Blues Alone』(67年)のうち“Brown Sugar”(このタイトルはアフリカ系女性との性的関係を表す隠語である)、“Marsha’s Mood”の2曲を作曲。
また彼女は大人気ミュージカル「Hair」で主役級を演じたり、プロデューサーのトニー・ヴィスコンティと共にドクター・ジョンのカヴァー曲“Walk on Gilded Splinters”をレコーディングしたりもしている。ヴィスコンティとの関わりからTレックスのマーク・ボランとレコーディング・スタジオで出会い、セッションが終わると、手と手を取り合って帰宅したという話もある。
そして彼女は“Honky Tonk Woman”の写真撮影中にミック・ジャガーと出会い、その恋愛関係は9か月の間続いた。その絶頂期には彼女にとって唯一の子供であるカリスを授かっている。ローリング・ストーンズの“Brown Sugar”はマーシャからインスパイアされたと言われているが、ジャガーが別に付き合っていたクラウディア・レニアーからインスパイアされたとする意見もある。
マリリン・モンローを題材にしたエルトン・ジョン“Candle in the Wind”
ご存知マリリン・モンローは美しいブロンド・ヘアと超絶プロポーションを持ち合わせた大人気セレブで、36歳の若さでドラッグの過剰摂取で亡くなるまで、女優やシンガーとして多くのヒット映画(殆どがコメディ)に出演するなどの活躍をみせた。この時代で一番写真を撮られた女性と呼ばれ、その人生は波乱に満ちている。大スター野球選手のジョー・ディマジオや脚本家のアーサー・ミラーらとの3度の結婚や、アメリカ元大統領のジョン・F・ケネディやその弟、ロバートらを相手に、常に恋の噂が話題だった。
彼女もまた多くの曲のインスピレーション源になったが、その中でもエルトン・ジョンの“Candle in the Wind”は特に有名だ。現在はダイアナ妃と関連付けられることの多い曲だが、オリジナルは73年にリリースされていて、曲の中にマリリンの本名、ノーマ・ジーンが歌われている。エルトンは97年、元英国王太子妃ダイアナ・スペンサーの悲劇的な死の後にこの曲を再編し、再レコーディングした。
ジュディ・コリンズとクロスビー・スティルス・アンド・ナッシュ
ジュディ・コリンズは61年にデビューしたシンガー・ソングライターで、ジョニ・ミッチェル、レナード・コーエンやボブ・ディランを最初にカヴァーし、楽曲が著名になるのを助けた人物として知られている。
コリンズは67年にギタリストのスティーヴン・スティルスと出会い、2年間の恋を楽しむが、俳優のステイシー・キーチに出会い、スティルスと破局。スティルスはその際、彼女を取り戻そうと“Suite: Judy Blue Eyes”(発音するとスウィート・ジュディ・ブルー・アイズと聞こえる)という曲を作る。
当時、スティルスのバンド、バッファロー・スプリングフィールドは解散していたため、バーズを離れたばかりのデヴィッド・クロスビーと、ホリーズから脱退したばかりのグラハム・ナッシュら友人を集めて録音した。この録音が非常に楽しかったということで、彼らはクロスビー・スティルス・アンド・ナッシュを結成する。この曲は映画「ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間」にも採用され、さらなる人気を博すことになる。スティルスは結局ジュディとよりを戻すことはなかったが、二人は2017年にアルバム『Everybody Knows』のために再会し、一緒にツアーも行っている。