鋼鉄リフでとことん押しまくる22枚目のアルバムは、まるでハード・ロックの原点に立ち返ったような潔さだ。それは昨年2月に行った初の海外ツアーの経験が大きいのだろう。聴き手の本能に火を付ける直情的な演奏に加え、繰り返しのフレーズを多用した歌詞もわかりやすく、これほどキャッチーに振り切った人間椅子も珍しいのではないか。プログレ要素は極力控えめに、全曲ライヴ仕様のダイナミズムに貫かれた痛快作である。