いままでにないラヴソング
殻を破るスイッチはすでに押されたな……と、髪をバッサリと切った彼女の姿を見てまずは思ったりもするが、届けられたニュー・シングル“Love Song”のなかでも新しいUruの姿、態度をさりげなく見せてくれる。TVドラマ「推しの王子様」の主題歌として編まれた表題曲は、これまで彼女が書いてきたラヴソングとはニュアンスが少し異なるものだったりもして。

「私がいままで書いてきたラヴソングは、切なかったり悲しかったり、曲調的にもそういうものが多かったのですが、今回は、ドラマの脚本を読んだ感想と制作されているみなさんからのリクエストも相まって、曲調からいままでのラヴソングとは少し違った、温かでまっすぐな気持ちになれるような曲になっていると思います。台本、脚本を読んでいて、登場人物たちのひたむきさがとても胸にグッときていたので、この曲も、最後はまっすぐな曲にしたいなと思いました。ずっと気付かない振りをしてきたけれど、一緒に過ごしていくなかで心が動いていく様を描けたらいいなと思いながら歌詞を書いたつもりです。最後に〈ちゃんと自分の気持ちをはっきりと言葉にして伝えるラヴソング〉を作ったのは、もしかしたら初めてかもしれないですね。それも、このドラマが書かせてくれたことだと思っています」。
最後はまっすぐな曲にしたい──それが“Love Song”というストレートなタイトルに辿り着いた、とも語る彼女。そんな思いが宿った楽曲の世界観にさらなる豊かさを与えているのは、デビュー曲“星の中の君”はじめ、これまでも彼女の作品の多くを手がけてきたトオミヨウ。
「曲の雰囲気をお伝えする際に、ダニエル・パウターやヴァネッサ・カールトンのような少し昔の洋楽の雰囲気で曲を作りましたということはお伝えしました。このあたりの、少し昔の洋楽が私自身とっても好きな曲調で、アレンジの第一稿を聴かせてもらった時はとても興奮しました。今回もとても素敵に仕上げていただけて嬉しいです」。
カップリングの“I don't suit you”も新鮮だ。こちらは国内外のアーティストのリミックス・ワークでも腕を振るう覆面ユニット、AmPmがプロデュース。チルなダンス・トラックと、終わりの見えた切ない恋愛風景を描いた歌詞とのマッチングが妙味なナンバー。
「アレンジがものすごくカッコよくて、初めて聴いたときはとてもビックリしました。私のデモは、どちらかというとR&Bテイスト強めのサウンドだったので、こんなふうに変わることができるんだなと、驚きしかなかったです。それと同時に、そこに歌を乗せる緊張感もずっしりと感じました。聴けば聴くほどハマってしまうような曲になってくれたと思います。AmPmさんがどんなふうにアレンジしてくださるのか楽しみに待っていたいという気持ちとリスペクトもあったので、特に私からはこうしてほしいということはお伝えしていなかったのですが、私がR&Bが好きだということが伝わっているのと、この曲の原型を少し残すアレンジにしてくださった気がしています」。