ケルン・ギュルツェニヒ管が初演した名作を首席指揮者のロトと録音するシリーズ、マーラーに続いてのリヒャルト・シュトラウス。『ティル』『ドン・キホーテ』とも当時のカペルマイスター、フランツ・ヴュルナーが初演指揮を執っており、当盤のロトはさながら現在にあって名作の新規蒔き直しを図らんとする気概に満ちている。SWR響との交響詩全集での両曲(2012年録音)の比較でも、ロトの巧緻で精密な設計が各オケの特性を踏まえたサウンドとして表出されており、両方押さえておきたい。当盤の『ドン・キホーテ』の魅力はやはりソリスト。ケラスの高潔で気品に満ちたチェロ! タベアのヴィオラも密度の高い表現で絶品のペアだ。