millennium paradeやBlack Boboiでも活動する才媛の新作は〈夢と現実の世界〉がコンセプト。前半はエクスペリメンタルな色合いの強いエレクトロ~ドリーム・ポップが並び、浮遊感のあるヴォーカルも含めて、ビョークからスメーツに至る神秘的な北欧電子音楽の系譜に連なる。一方、中盤の楽曲ではピアノやストリングスなどの生楽器をフィーチャーし、クワイア風のコーラスに躍動的なウッドベースを加えた“Learn while you sleep”では録音中の笑い声もそのまま収録したりと、この前半と中盤の対比が〈夢と現実〉を表しているかのよう。また、基本は英語詞ながら、日本語で歌われる“House”の童謡っぽい雰囲気から、大曲“Mountain Song”で締め括られる終盤の流れには、なんとも想像力が掻き立てられる。