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流線形にPLATINUM 900が参加する?

――渋谷系にはない屈折したユーモアですよね。瀧口さんは2020年のコンピレーションアルバム『CITY MUSIC TOKYO invitation』で“アップル -Apple-”を選曲されていました。瀧口さんが好きな曲は、やはり“アップル -Apple-”ですか?

瀧口「『白金』は本当によく聴いていたのでどの曲も好きで、めちゃくちゃ思い入れがあります。あとは、クラブでよくかける“レッツ・ブギ・ザ・ナイト”。“月明かりの下で”も好きですね。それと、西村さんが歌っている“クライ・ベイビー・クライ”も」

西村「自分が歌っている曲は聴き返していないので、照れくさいですね(笑)」

瀧口「いや、西村さんの歌、すごくいいですよ」

坂田「一彦くんはもともとボーカルだったからね」

瀧口「坂田さんはいま、歌ってないんですか?」

坂田「歌ってないですね」

瀧口「坂田さんの歌、また聴きたいですね。いまお話しされている声はハリがあってすごく良いので、衰えは感じません」

――坂田さんが流線形に参加して歌うというのは、ファンとしては聴いてみたいですね。

西村「直子さんは弦も弾けるしね。僕も、シンセで一音弾くだけでも使ってください(笑)」

瀧口「西村さんも歌ってくださいよ」

西村「いや~、僕が歌うとソウルフルになっちゃうから(笑)」

瀧口「機会があったら、ぜひお2人ともボーカルで参加してください」

――それは夢のプロジェクトですね!

瀧口「ちなみに、未発表音源はないんですか?」

西村「飯星くんのスタジオにはあったかもしれないけど……。自分の頭のなかには未発表曲があります(笑)。SMAPに提供した曲の、僕がバックトラックと仮歌を入れたデモはジャニーズに残っているかもしれません」

坂田「他にも、デモはDATにいっぱい入ってたよね。どこかに行っちゃったけど」

西村「だから、新しく曲を書いて、他の人に提供してみたいですね」

坂田「もう一回、曲を作ってみたら? 今度は売れちゃうかもしれないね(笑)」

 

2020年代に蘇るPLATINUM 900のサウンド

――最後に、今回の再発への思いやご感想を訊かせてください。

瀧口「PLATINUM 900は埋もれちゃっていたところがあって、だからこそDJで細々とかけていた頃は優越感があったんです(笑)。それが、再発やシティポップブームで注目され、たくさんの方に聴いていただける機会がやっと来たことは、本当に素晴らしいと思いますね。廃盤だったCDも高騰していたので、今回お求めやすい価格帯で正規で出たことはすごくうれしいです」

――西村さんと坂田さんはいかがですか? 20年以上の時を経て、PLATINUM 900の作品が再びリスナーのもとに届けられることに対して。

坂田「いまは過去の音楽も新しい音楽も、世界中のものがサブスクで一気に聴けるから、すごい時代ですよね。だからこそ、自分が本当に好きな音楽を見つけるのが難しい時代かもしれませんが、そのなかでも私たちの音楽は輝いてるんじゃないかなって(笑)。〈えっ、何これ!?〉って驚いたり、〈いまの音楽とはぜんぜんちがうな〉って思ってもらえたりする音楽なんじゃないかなと思うんです。なので、再発してもらえることはすごくうれしいですね。PLATINUM 900の音楽は、何回聴いても飽きないし、いまも〈いいな〉〈似た音楽がないな〉って思いますし。瀧口さんのように評価してくださっている方々に、本当に感謝ですね」

瀧口「僕だけじゃなくて、PLATINUM 900を評価してきた人たちはいっぱいいると思いますよ」

坂田「そういう声が、だんだん大きくなっていったことがすごいなって思います」

――西村さんはいかがですか?

西村「僕は最近、YouTubeでおすすめに上がってくる『刑事コロンボ』の動画をよく観ていて。アメリカに住んでいた幼少期に、ちょうどTVでやっていたのが『刑事コロンボ』なんですね。TV音楽ってすごく印象に残るものが多くて、メロディーとか雰囲気とかにはかなり影響を受けていると思うんですけど……。

何が言いたいかというと、さっき直子さんが言ったことと重なりますが、そういった過去のものがいまこうやって浮上してきていて、簡単にアクセスできるって、すごい時代だなと」

坂田「私たちは過去のものに〈懐かしい〉と感じるけど、若い人たちは〈新鮮だな〉って感じてくれるかもしれないしね」

西村「そうそう。なので、自分たちの音楽もBTSも、なんでも聴けるいまの時代はすごいなという感慨があります」

――それこそBTSのファンキーな曲やシルク・ソニックなどのファンからシティポップのリスナーまで、PLATINUM 900の音楽が広く届いてほしいですね。本日はありがとうございました!

 


RELEASE INFORMATION

PLATINUM 900 『プラチナム航空900便』 ALDELIGHT/Sony Music Direct(1997, 2022)

リリース日:2022年7月27日
品番:MHCL-30728
価格:2,200円(税込)

TRACKLIST
1. 恋のレスキュー隊
2. Never Stop
3. Flight 900
4. I can’t listen to the BOSSA NOVA on a Sunday afternoon
5. Eternity
6. Platinum Airways
7. History

 

PLATINUM 900 『プラチナム交響曲 第900番「白金」』 ALDELIGHT/Sony Music Direct(1998, 2022)

リリース日:2022年7月27日
品番:MHCL-30729
価格:2,200円(税込)

TRACKLIST
1. 今すぐ受話器を取って
2. アップル -Apple-
3. Mercedes Life
4. Platinum Airways (Live Version)
5. My Philosophy
6. ファンタスティック ジャーニー

 

PLATINUM 900 『missing star』 ALDELIGHT/Sony Music Direct(1998, 2022)

リリース日:2022年7月27日
品番:MHCL-30730
価格:1,650円(税込)

TRACKLIST
1. Missing Star
2. 246
3. I can’t listen to the BOSSA NOVA on a Sunday afternoon (EP Edit)
4. Mercedes Life

 


PROFILE: PLATINUM 900
坂田直子、西村一彦、飯星裕史の3人からなる和製ジャズファンクバンド。97年にミニアルバム『プラチナム航空900便』でデビュー。シングル1作、ミニアルバム2作、フルアルバム1作を残し、99年に解散。

PROFILE: クニモンド瀧口(流線形/CMT Production)
2003年に流線形として音楽活動をスタート。2003年に『シティミュージック』、2006年に『TOKYO SNIPER』、2009年に『NATURAL WOMAN(w/比屋定篤子)』、2020年に『Talio(w/一十三十一)』をリリース。プロデュース・楽曲提供・アレンジの代表作として一十三十一『CITY DIVE』、ナツ・サマー『HAYAMA NIGHTS』、古内東子“Enough is Enough”などがある。2020年からシティミュージックを選曲・監修したコンピレーションアルバム『City Music Tokyo』シリーズの発売を開始。同年、NHKドラマ「タリオ -復讐代行の2人-」の劇伴を担当。2022年8月17日、堀込泰行(ex-キリンジ)をフィーチャーした『インコンプリート』をリリース。また、CMT Productionとしてグラフィックデザイン、企業PRを担当。音楽を中心に多岐にわたり活動している。