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連載

YMO『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』のSACDが鮮明に伝える3人の個性、電子楽器の魅力

【SACDで聴く名盤】第12回

音楽の聴き方が多様化したいま、より高音質なサウンドで音楽体験をしたいと考えている方も多いははず。そんなリスナーにタワーレコードがおすすめしているのがSACDです。その魅力を伝えている連載〈SACDで聴く名盤〉の12回目でご紹介するのは、日本のポップミュージック史に燦然と輝く名盤、YMOの『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』(79年)。言わずと知れた名曲“RYDEEN”のみならず、全8曲でシンセサイザーなどの電子楽器を媒介に創造性とポップネスが爆発した本作は、SACDでどのように再生されるのでしょうか? 音楽ライター/編集者の武田昭彦さんが綴ってくれました。 *Mikiki編集部

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タワーレコードのYouTube動画〈高音質のCD? 「SACD」とは《Q&A編》〉

YMO 『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー(SACD Hybrid)』 GT music(2018)

 

最先端のスタジオで録音された名盤を世界的エンジニアがリマスタリング

YMO『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』は79年発表のセカンドアルバム。本作はアルファレコードがかつて所有していた東京・芝浦〈Aスタジオ〉において、吉沢典夫と小池光夫の2人によってレコーディングされた。〈Aスタジオ〉は当時最先端の録音機材が揃っており、荒井由美やはちみつぱいのアルバムも制作されている。

このSACD/CDハイブリッド盤はオリジナルのアナログマスターテープを録音に携わっていたASTマスタリングの小池がデジタル化し、世界を代表するマスタリングエンジニアのボブ・ラディックがリマスタリングを手掛けている。SACD層は音調整の施されたPCMデータをベースにソニーミュージックスタジオに在籍する内藤哲也(近年は大滝詠一作品のマスタリングで知られる)が制作している。

 

中低域に厚みのあるリマスターを鮮明に再生

ボブ・ラディックによるマスタリングは中低域に厚みを伴った音が印象的で、ベースラインやドラムの音が際立って聞こえてくる。坂本龍一・作曲の“TECHNOPOLIS”はSACD層ではボコーダーの〈TOKIO〉が柔らかく、細野晴臣の弾くエレキベースの音が鮮明に伝わってくる。

『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』収録曲“TECHNOPOLIS”

細野晴臣・作曲の“ABSOLUTE EGO DANCE”は沖縄音楽とテクノが融合した曲で、SACD層ではリズムとリズムの間に聞こえる音の揺らぎまでが穏やかに耳へと届けられる。この曲はサンディーがボイスで参加している。

高橋幸宏・作曲の“RYDEEN”はパート毎に様々な音が散りばめられているのが特徴で、SACD層ではとりわけ1分過ぎと2分15秒前後から聞こえてくる水の塊のような効果音がマイルドに伝わってくる。この曲におけるハイライトとなる2分30秒前後から始まるゲームの効果音の如きSEも、SACD層ではなめらかに聞こえてくる。終盤にかけてシンセで奏でられる高域の音色はおそらくピッコロを模していると思われるが、その狙いがボブ・ラディックによるマスタリングではスムーズに享受できる。

『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』収録曲“RYDEEN”

坂本龍一・作曲の“CASTALIA”は坂本ワールド全開の曲で、静謐なパートから徐々に音数が増えていくパートまでSACD層ではその世界観を鮮明に描き分ける。LP時代のA面最後にこの曲があることで聴き手の想像力は刺激され、どこまでも広がっていたことが思い出される。

 

シンセは色彩感豊かに、ボーカルは丸裸に

LP時代のB面はインストではなく、ボーカル曲でまとめられている。坂本龍一・作曲の“BEHIND THE MASK”は重心の低いリズムとメロディーが曲を牽引する。ボコーダーを駆使したボーカルパート、要所でアクセント的に使われているシンセの音色がSACD層では色彩感豊かに聞こえてくる。

ビートルズのカバー“DAY TRIPPER”ではギタリストの鮎川誠が参加することで、他の曲とはやや趣の異なる世界観が提示されている。高橋幸宏のボーカルはハーモナイザーにより加工されているものの、SACD層ではその狙いが丸裸の状態で伝わってくる。

細野晴臣・作曲の“INSOMNIA”は細野の声がボコーダーでフィーチャーされている。単調に思えるほどのリズムとメロディーが繰り返されることで、聴き手はこの摩訶不思議な曲におのずと引き込まれていく。間奏パートの終盤で聞こえてくる無限音階はSACD層では点ではなく、面の音として響いてくる。

高橋幸宏・作曲の“SOLID STATE SURVIVOR”は先の“DAY TRIPPER”同様、ギタリストの鮎川誠が参加し、高橋のボーカルに加え、加工が施された女性の声もミックスされている。8ビートのこの曲はYMOの中でもひときわポップ色が強い反面、アグレッシブな要素も少なくない。

本作に収められた全8曲に耳を傾けると、YMOの音楽が日本国内のみならずワールドワイドで認知されていくのが理解できるだろう。

 

3人の個性と先端的な取り組みを体感

ボブ・ラディックの最新マスタリングによるSACD層で聴く音楽は、各々の曲が持つ魅力に加え、3人のメンバーの個性までを浮き上がらせる。70年代後期の先端だった電子楽器の持ち味やそれらを使いこなしていたメンバーの取り組みが文字通り記録された『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』は、SACD/CDハイブリッド盤で聴いてこそその魅力が体感できるに違いない。

タワーレコードのYouTube動画〈【SA-CD普及委員会】#03 SA-CDとCD聴き比べ~朝比奈隆のベートーヴェン〉

 


RELEASE INFORMATION

YMO 『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー(SACD Hybrid)』 GT music(2018)

リリース日:2018年11月28日
品番:MHCL-10109
価格:3,300円(税込)

TRACKLIST
1. TECHNOPOLIS (2018 Bob Ludwig Remastering)
2. ABSOLUTE EGO DANCE (2018 Bob Ludwig Remastering)
3. RYDEEN (2018 Bob Ludwig Remastering)
4. CASTALIA (2018 Bob Ludwig Remastering)
5. BEHIND THE MASK (2018 Bob Ludwig Remastering)
6. DAY TRIPPER (2018 Bob Ludwig Remastering)
7. INSOMNIA (2018 Bob Ludwig Remastering)
8. SOLID STATE SURVIVOR (2018 Bob Ludwig Remastering)

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