皆様ご無沙汰しています。
ヨーロッパ・ツアーを終えロンドンに戻るとすでに冬の様相。
まだ9月になったばかりだというのに、コートなんて着てしまっている始末。
かと思えば昨日からまた暑くなってきました。インディアン・サマーの到来のようです。
日本はまだまだ残暑の厳しい時分でしょうか、それとも秋なのかな。
いずれにせよ、脱水起こすので呑みすぎないようにね。
さて、今回は前述した8月上旬からのヨーロッパ・ツアーに焦点を当てて話していこうと思います。
ツアーといっても夏のフェスティヴァル出演がメインだった今回の旅は、それはそれは、いつものことでもはや呪いのような感じもありますが、波乱続きでした。
まず8月1日、〈Off Festival〉という出演のためポーランドへ。
〈Off Festival〉はある意味非常に均整のとれたラインナップを誇っていて、大きいところではジーザス・アンド・メリー・チェイン、ベル・アンド・セバスチャン、そのなかでわれわれのようなバンドや、にせんねんもんだい、グレン・ブランカ、ミヒャエル・ローターなどのアンダーグラウンド/オーヴァーグラウンドの良きバランスを保つような面々、さらには地元ポーランドのグループと、スペインの〈プリマヴェーラ〉のような派手さはないけれど、ATP(All Tomorrow’s Parties)がエクスペリメンタル・ステージをキュレーションしたりと、なかなかに良質なフェスだと思います。
われわれの出番は2日の夜だったのですが、ノイ!やハルモニアのファウンダーであり、いまなお活動を続ける数少ないゲルマン音楽の重鎮、ミヒャエル・ローターをやっぱり観たい!とのことで、初日から前乗りしてポーランド入り。
フェスのロケーションであるカトヴィツェという街は、大戦後の重く冷たい社会主義の象徴のような建築と、伝統的なヨーロッパの建築が調和せず入り乱れる、言ってみれば変な街でした(もちろん良い意味です)。
会場自体は森の中にあり、時間がなく立ち寄る時間はありませんでしたが、その森に湖もあったりと、日本さながらに清潔で快適な環境。
ホテルに到着するも、なぜかぼく/コウヘイ組の部屋のエアコンが効かないという事態。
ベッドに寝転んで息をするだけでも汗が頬を伝うというレヴェルの暑さ。
ポーランドが暑いというイメージがまったくなかったのに、どないなってんねん。
偶然ホテルも同じだったポーランド人の友人の部屋でまずは祝杯。暑さのあまり酔いも加速します。
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みんなと合流し、ミヒャエル前に少しフェスを体験しようということで、早めに徒歩で会場へ。
道中無論呑み続けるわけですが、友人もわれわれもすでに出来上がってしまいました。
大いに呑み(この国においてウォッカはもはや国民飲料みたいなものな気がします、日本だと、なんだろう、お茶かな)、酩酊の危険を感じつつもミヒャエルのセットを鑑賞。
これまでの彼の楽曲、主にノイ!やハルモニアの曲をよりシンプルに、演奏していました。
良い意味でわかりやすくて楽しめたな。
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帰りに友人とガソリンスタンドで、ガソリン補給。
路上でお酒を呑むのは違反らしく、見事な空き地の死角に座って酒盛りをしていると、見事にポーランド警察に注意されました。
非常に高圧的な態度で、外国人はもちろん、ポーランド国民や女性に対しても失礼極まりないそうです。
日本やイングランドでは考えられないですよね、公僕たる警察からいきなり罵声浴びせられるとか。
カルチャー・ショックというやつでした。
ホテルに戻ってその日は翌日の演奏に備え撃沈。
当日はランチがてら街を散歩したりゆっくり過ごしつつ、夕方頃会場入り。
楽屋でビールを開けて間もなく3本のインタヴューならびに写真撮影、そしてすぐさまステージでサウンドチェック。
テント・ステージとはいえ、キャパシティは2000人ほど。
正直、演奏したことのない国というのもあり、本当にお客さん来るのかなあ……とみんな不安になりながらもチェックを終え、ストレッチ。
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ドキドキしながら、いざ本番ステージへ戻ると……
テントに入り切らないほどにパンパンの超満員。
怒号のような歓声で迎えていただきました。
1時間強のセット、最近の中では一等インタラクティヴな、かつ最高に盛り上がったライヴとなりました。
思えばセルビアとオーストリア以外、ポーランドはもちろん東欧や中欧で演奏したことがないということは、ここにいる数千人のほとんどの方がわれわれのライヴを観たことがなかったわけで、ライヴ後、スロベニアやロシア、チェコなどなど、周辺諸国から観に来てくださったお客さんもいて、おそらくはレコードを買ってくれたり、YouTubeでひたすら予習してくれたりしたのだと思います。
そう思うと、本当にありがたいことで、嬉しくなりました。ありがとう。
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翌日ポーランドを後にし、数日ロンドンへ。
この数日間もダーティ・スリーのドラマーである奇才ジム・ホワイト氏と、ギリシャのギタリスト・ジョージ・クシルリスとのデュオに、BO NINGENの変名ユニット・The Night of Stickmenでサポートしたりと、ライヴライヴで休む間もなく次なる目的地、スウェーデンへ。
〈Way Out Way West〉というフェスティヴァルのアフター・パーティーでの演奏で、Gothenburgという都市。
話は逸れますが、調べたところ日本語でGothenburgはヨーテボリと発音するそうで、非常に違和感を覚えます。どうでもええけど。
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北欧は、やはり蒼い。
さて、初っ端のスウェーデン、男性も女性も美しい人が多く、会場に着けば小さいステージでこそあれ、背後には大量のアンプのスタックが積まれており、これは、初めて演奏する国の、かつ小さいヴェニューで、大轟音で演奏できる良いチャンス、と非常に一同楽しみにしていたものの、いざサウンドチェックが始まると……。
「Can you please turn the guitars down」
始まった。訳しますと、文字通りギターを下げてくれ、なんですが、われわれ、特に小さなヴェニューで演奏する際によく起こる事態です。
ドラムやヴォーカルやベースは問題ないのに、ギター特有の、アノ、高周波/高音域(耳にキーンとくるアレです)がリミッターに引っ掛かる。
ここまではよくある話です。無論、われわれとしてもナイスに対応し、かつスタッフ共々円満に楽しくイヴェントを成功させたい、仕事をしたいので、ぼくとこうへい君は、音量を下げます。すると……。
「Sorry, still way too loud. can you turn down much more?」
訳しますと、申し訳ないんだけど、それでもまだギターでかいよ。もっと下げてくれる?
このあたりからぼくもコウヘイ君もいら立ちを感じはじめ、解決策として、ギターのみマイクアップをせずに(つまり会場のスピーカーを通さずに)やればどうか?という案にも、「どうにもこうにもデカすぎる」との返事。
この時点でわれわれ2人のアンプのヴォリュームノブは0.5を指し示しており、これ以上落とすともはや音がなくなってしまう始末。
禅問答の末、最終的に「法律だから、頼むよ。うちの店がトラブルになるよ」とのこと。
なるほど、それではとばかりに、サウンドチェックはこれで通し、本番ラストの〈Daikaisei part 2, 3〉で普段のヴォリュームに戻そうという結論に達し、本番、パンパンになった会場の熱気のなか、見事最後に、機能も果たせぬまま冷えきっていたアンプのスタックたちを覚醒させ、大音量で締め括ることができました。
お客さんも大盛況。みてみい警察なんかこんかったやんけ。
その後しばし歓談/飲酒ののち、午前3時頃、ふたたび空港へ。スウェーデン滞在時間、なんと9時間ほど。
嘆くには贅沢かもしれませんが、もう少し、スケジュールを整えて行きたかった。
ヨーテボリ空港(知らない空港のようだ)に戻り、一路イタリアは南の島、シチリアへ。
碧い空気を持つ北欧から、真夏の南国。
こういった極端な気候/町並みの変化は異国へ来た感慨がひとしおなので、嬉しいものですが、如何せん眠い、暑い、ビール呑みたい、呑むと眠くなる、の悪循環で、個人的に大好きなシチリアですが、到着時は一同完全に生ける屍状態。
それでも、フェス会場となる州都パレルモ近郊の山あいの街へ到着すると、その美しさに目を奪われ、元気になりました。
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なんでもシチリアでももっとも古い街のひとつらしく、ステージは町の中心、14世紀に建立されたCastelbuono-Castleという古城と山々に囲まれた広場にあり、4人全員、〈うあー〉〈やばい〉などと小学生のような感動の表現しかできぬほど。
この日はアンナ・カルヴィ、そして先日われわれBO NINGENが“In White Relief”をカヴァーした、クリスチャン率いるアーチー・ブロンソン・アウトフィットと共演。
ケータリングでいただいたシーフードのピザも、シシリアン・ワインも、スタッフのホスピタリティー、お客さんの反応も、すべてが素晴らしく、あまねくすべてのマリアージュをもたらした真夏の夜。
翌日も早朝出発でドイツへ向かうにもかかわらず、睡眠を削って宿泊先のホテルのバルコニーで団欒呑み続け、夜が明けると、まるで夢から醒めたようにまたも一路空港、次の目的地はプロシア、じゃなかった、ドイツ。
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