Page 2 / 3 1ページ目から読む

大切にしたいもの

 序曲の“xYZ”とそこからシームレスで繋がる“D.Y.D”はyahyelの篠田ミルと山田健人がプロデュースし、抑制されたトラックで新たな可能性の胎動を表現。“Wanna Dance”のMVも監督した山田はEMPiRE時代からライヴ演出やMV監督を務めるなどメンバーと縁の深い存在でもあります。

mayu「yahyelの曲もカッコイイなと思って聴いてたんですけど、山田さんはライヴ演出もただ演出するだけじゃなくて、ちゃんと私たちのパーソナルな部分に触れてくれる方なんですよ。なので、今回も状況を踏まえて曲を作ってくださって、仮歌の時点から歌詞もめっちゃ気合い入ってて〈私たちのことを書いてくれたんだな〉って思える内容で凄く嬉しかったです」

 そんな冒頭のディープな蠢きからキラキラと解放的に両腕を広げるのが、デニー・ホワイト作の“STAY WITH Me”。MiCKiE J(とは?)がディズニーのプリンセス映画を観て書いたという歌詞も多幸感を増幅し、往時の姿にも重なるポップな音世界が展開されています。

mayu「“STAY WITH Me”と“Wanna Dance”はもともと〈元EMPiREなりのラストツアー〉ファイナルで初披露する予定で、6人でレコーディングした曲です。やっぱり最初の“Wanna Dance”で変化を見せるだけだとビックリさせちゃうかもしれないけど、“STAY WITH Me”はそのまま何も考えず楽しんでもらえそうだねってメンバー間でも話していて。予定通りに初披露はできなかったですけど、そういう意味でこの2曲を準備していました」

 エッジーな親しみやすさという意味でズバ抜けているのは、80KIDZによる先行配信曲“Obsession”。バウンシーなアシッド・ハウスとMaika Loubté作のクールなメロディーに乗せてエモーショナルな歌唱の魅力が明快に発揮された名曲です。

mayu「めっちゃ良い曲で、私は歌ってていちばん楽しかったです。Maikaさんの仮歌と岡嶋かな多さんの歌詞を別々でいただいたので最初はハメ方が全然わかんなくて難しかったんですけど。岡嶋さん直々に歌詞を充てた音源をいただいて、それを聴いてレコーディングに臨みました」

maho「MVは木村太一さんに初めて監督していただいて。クラブをイメージして踊ったりもしたんですけど、意外とナチュラルに〈ちょっと歩いてみて〉〈みんなで話してて〉みたいな場面も多くて、いつものようにバカ騒ぎしてるだけのところを自然に撮ってもらってました(笑)」

 ダンス・トラックではクールで大人っぽい“WEEKEND”もスリリングな週末の疾走感を纏ったクセになるカッコ良さ。

mayu「最初のデモが大人っぽすぎて、〈私たちにできんのか?〉と思ったけど、ちゃんと自分たちの味が出て、想像してたより凄くカッコ良くなったからめっちゃお気に入りの曲です」

maho「いちばん最初に書いた歌詞ですね。比喩というか、曲のいままでになかったオトナな雰囲気と、週末だけファンの人と会う感じが私の中でリンクして、〈もしかして私たちは危険な関係なのかもしれない〉って思いながら書きました(笑)」

 一方、粋なコード感が映えるミディアム“4:00 a.m”はMichael Kanekoの作。歌詞はmikinaとmahoの共作です。

mayu「mikiちゃんが1番の歌詞を書いて、mahoちゃんがサビとそれ以降を書いてるんですけど、組み合わせたら〈都合のいい女〉みたいになったというか……」

maho「思いが通じ合えない人たちのお話になった(笑)。レコーディングは皆さんそれぞれスタイルがあったんですけど、マイキーさんはフランクな感じの方で、ソファーに座ったり立ち上がってノリながらやってたり、自由に歌えました」

 同じorigami勢から関口シンゴ(Ovall)を迎えた“あいしてる”は、唯一のアコースティックなスロウ。メンバーも含む周囲との関係を綴ったようなmahoの歌詞を各々の素朴な歌声がピュアに色付けています。

maho「関わってくれてる人たち、私が大切だと思う人たちや大事にしたいことを、これから先も大事にしていきたいなって思うこと、つらつらと書きました。その歌詞をみんなが思うように歌ってくれたのを感じて、温かくていいなって思ってます」

 さらに栗原暁(Jazzin’park)と前田佑による“You & Me”もmahoの作詞。軽やかなビートが率直な心境を運ぶ好曲です。

maho「明るく前向きな感じにしたいなと思いつつ、やっぱり元EMPiREのツアーを回っている夏に書いて、変わっていくものがたくさんあるなかで、変わらないものも大切にしていきたいなって考えていた気持ちをシンプルに書いて。あと、ExWHYZのメンバーは何度も手を繋いで立ち上がっていくみたいなエネルギーが凄くあるなとか、みんなに会えるの楽しみな気持ちとかを書きました」

 そしてShin Sakiuraの手掛けた“Higher”はmayuが歌詞を共作。これも現状を映し出したものでしょう。

mayu「私は今回、本当に納得のいく歌詞がまったく書けなくて、そのなかで1曲だけ〈これは書けた!〉って思ったのが採用されました。普段は恥ずかしくて言えないメンバーへの気持ちを歌詞でなら言えそうだし、ずっと書いてみたかったんですよ。1番の歌詞はShinさんが書いたほぼそのままなんですけど、歌い出しの〈あれから何年経ったろう〉から着想を得て、そこで〈あっ、これ自分たちのこと書けそう〉と思って、そこを頼りに2番以降を書きました。改めて一緒にがんばっていこうっていうタイミングで自分的に書きたいと思ってたことを書けたので嬉しかったです。Shinさんが愉快な人だったのでレコーディングも楽しくやれました」

 ラストの“Universe”では冒頭2曲を手掛けた篠田&山田のコンビが再登場し、ストイックな眼差しで未来を歌って幕を下ろします。リリース後の11月から来年1月にかけては初の全国ツアー〈ExWHYZ First Tour xYZ〉が開催され、ExWHYZとしての旅がいよいよ始まることとなりました。

mayu「たぶんいままで見せたことのない私たちもこれから見せていくんですけど。でも、いままでやってきたことは間違いなく私たちの中にあって、それが原動力でExWHYZをやれてるなって自分たちでも感じてるし、変化はあるんですけど、やっぱり目の前にいるみんなのことがいちばん大事だと思いながらやる気持ちはずっと変わらないので、ライヴで一緒にまた楽しい時間を共有できるのを楽しみにしています」

maho「ExWHYZっていうグループがどういうものなのか、自分たちもこれから作り上げていくなかで見つけていくのを楽しみながら、来てくれる人たちとはEMPiREの時代と変わらず一緒に楽しんで、自分たちの可能性を信じてやっていきたいです」 

EMPiREの近作。
左から、2019年作『the GREAT JOURNEY ALBUM』、2020年作『SUPER COOL EP』、2021年作『BRiGHT FUTURE』、2022年のライヴ映像作品「THE FiNAL EMPiRE -EMPiRE DOPE MAGiC TOUR 2022.06.02 at LINE CUBE SHIBUYA-」(すべてavex trax)