オムニバス感のある〈Song Machine〉シリーズを中断(?)して再度コンセプチュアルな作風に回帰した3年ぶりのニュー・アルバム。スティーヴィー・ニックスやバッド・バニー、テーム・インパラ、サンダーキャットら豪華ゲスト個々のパフォーマンスはもちろん大きな聴きどころながら、全体的にカリブ~アフロ系のビートやダビーな感触が作中を覆っているため、サウンド自体にもいつも以上の統一感が生まれている印象だ。リズムとの相性もあってか『Lodger』期のボウイを連想させるデーモンの枯れた歌声もいい。カルト宗教という題材は刺激的だが、宗教そのものがテーマというよりは、他人の価値観を受容しなくなる状態が描かれているわけで、その意味では誰にでも当てはまる皮肉な問題提起なのかもしれない。