
(3月のリイシュー作ですが、構成の都合で今月ご紹介!)カンザスシティとミネアポリスを出自とする自作自演バンドの初作。初期トニーズや同時期のジョー・パブリックに通じる雰囲気で、ラップやチャントでアゲるイケイケ系からスマートなNJSまでを小気味良く聴かせ、後見人ジャム&ルイスの手助け無用な実力を見せる。より評価されたのは後半に固められたスロウのほうで、R&Bチャート首位に輝いた“I Got A Thang 4 Ya!”やジェントルな“Hey There Pretty Lady”など美曲揃いだ。 *出嶌

ガイ解散を経て放ったソロ・デビュー作にして、比肩するもののない大傑作。導入の“Prologue”から野性的でクールなヴォーカルが降り注ぎ、“Do Anything”へ至る流れでKOされてしまう。ヴァッサル・ベンフォードやボム・スクワッドらの容赦なくパーカッシヴなビートに豪快なアドリブも交えた歌唱が正面衝突するストロングスタイルの内容で、なかでも女声と掛け合うレイニー・スチュワート製の“Pick Up The Phone”が濃厚だ。抑制の効いたスロウ“I Miss You”がヒットした。 *出嶌

映画「黒豹のバラード」のサントラに収録された“One Night Of Freedom”で脚光を浴びた男性グループの唯一のアルバム。雄々しいラップで回す“Badd Boyz Of The Industry”や濃密なスロウ“Nasty”、当時のG作法を取り込んだ“Da Choice Is Yours”の狙いどころはモロにジョデシィだが、童顔のカヴァーやマーク・ゴードンによる“Why Does Love Hurt (So Badd)”の正統派な佇まいもよく似合う。ジャジー・ジェフ軍団が制作したほか、セルフ・プロデュース曲も良し。 *出嶌

ジョニー・ギルに通じるストロングな喉を持つシンガーのセカンド・アルバム。ボーイズのハキームが手掛けた“No 1/2 Steppin’”を筆頭に、キヤマ・グリフィンとアイク・リー3世が手掛けた“Can I Touch You”、主役自身の制作による“I’ll Do Anything”など、ブーム終焉間近のニュー・ジャック・スウィングに挑んでいるのが頼もしい。スロウも、エルトン・ジョン名曲のカヴァーやクラブ・ヌーヴォーのヴァレリー・ワトソンを迎えた“24/7”など好曲が揃う。 *林

ジャイヴ移籍以降はバラディアーとして人気を集めていくジョーのデビュー・アルバム。本人のメイン・プロデュースで、後年に繋がるスロウ・バラードもあるが、J・ディブスの手を借りたニュー・ジャック・スウィング“I’m In Luv”のようなアップを歌う当時21歳のフレッシュな歌唱が眩しい。今回のリイシューでは、人気のミッド・チューン“All Or Nothing”にTOTOの名曲をMCライト経由でミックスした〈Poor Georgie Porgie Mix〉など2曲を追加。 *林

ジャム&ルイス主宰のパースペクティヴから登場した、ツイン・シティが誇る自作自演バンドのセカンド・アルバム。同時期のトニー・トニー・トニーに通じる“Nobody Does It Betta”のような躍動感のあるアップから、今回のリイシューでスティーヴ“シルク”ハーリーのリミックスもボーナス収録されている“U Send Me Swingin’”などのバラードまでを、ストークリーがドラムを叩きながら伸びやかな声で歌う文字通りの快作だ。生楽器の瑞々しい響きにも感じ入る。 *林