才能に溢れたタイの人気バンド、ETC.が2023年5月22日にEP『Cruisin’ Till Sunrise:日の出まで クルージング』のデジタル配信開始とタワーレコード渋谷店限定でCDをリリースして来日を果たした。代々木公園で行われたイベント〈タイフェスティバル東京2023〉と東京・新代田FEVERで〈Singha presents ETC. x Neighbors Complain Live in Tokyo 2023〉に出演したメンバーにタイのミュージックシーンやEP『Cruisin’ Till Sunrise:日の出まで クルージング』、来日公演の感想を語ってもらった。
タイの音楽シーン変遷とETC.の取り組み
――デビュー以降、ミュージシャンの目で皆さんが感じたタイのミュージックシーンで盛り上がったジャンルや曲調の変化はありましたか?
ヌン=アピワット・ポンワート(ボーカル/ドラムス)「音楽のジャンルが多様化したことを実感しています。それまでタイではポップとロックが中心でした」
ソー=マンラック・トゥムカーノン(キーボード)「インターネットやYouTubeが有名になってから、皆がやりたいものをやり始めていて、ジャンルが細分化してメインストリームのジャンルなんてないんじゃないかと感じています」
ヌン「可能性が広がっている感じがしますね」
――タイでの音楽シーンの盛り上がりとの関連でETC.として、音楽の変化、音楽への取り組みの変化はありましたか?
ヌン「もともとメンバー全員が音楽好きで、その時々に好きな音楽を持ち合わせてETC.のサウンドを作り上げています。ETC.サウンドの土台に〈ハーモニー〉があるので、そこを中心にいろいろ試して進化させていくやり方をしています」
―――だからタイのリスナーから受け入れられているのですね。
ヌン「ファーストアルバム(2004年作『ETC.』)を出したときは正直、人気があまり出なかったんです。なぜかというと、フュージョンやジャズ、ファンクがタイではそんなにメジャーではなかったんです。なので、ちょっとプレッシャーを感じて、多くのリスナーに好きになってもらえる曲と自分たちらしさを失わないようバランスを追求した結果、自分たちのサウンドを見つけられてセカンドアルバム(2007年作『เปลี่ยน』)を出しました。自分たちらしさを失わずみんなに聴いてもらえるサウンドがうまくできたと思います」
――デビュー以降、パッケージ(CD、カセット、レコード等)リリースとデジタルリリースをともに経験されていますが、今回タワーレコード渋谷店限定でCDがリリースされることとなりました。バンドとしてパッケージに対する思い入れなどありますか?
ヌン「私はパッケージカルチャー世代なので、ETC.のデビューもカセットでしたし、手に取ったパッケージの感触は昔からプレゼントを受け取るような気持ちになるので、今回CDとしてもリリースできたのがうれしかったです」
ビー=ソーティナン・シャイランカーン(キーボード)「ブックレット内のメッセージやアーティストが考えていることを手に取って読めることに特別感があっていいですよね。デジタルではできないので」