砂原良徳 × LEO今井 × 白根賢一 × 永井聖一――説明不要な4人が試運転を経てついにアルバムを完成! マシーンと肉体を接続した強靭なグルーヴが独自の空間を創出する!
4人が共通して持つ熱量
初めは〈TEST〉だった。METAFIVEの特別編成〈METAFIVE(砂原良徳×LEO今井)〉として、ドラムスに白根賢一(GREAT3)、ギターに永井聖一(相対性理論)を迎えてステージに立ったのが、一昨年の〈FUJI ROCK FESTIVAL ’21〉。そもそもMETAFIVEが、高橋幸宏のアイデアから始まった一時的なユニットのはずだったように、この特別編成もそう。ところが、当日のリアクションもさることながら、その後にフェスやイヴェントの出演オファーが相次ぎ、〈TEST〉を繰り返す機会を得た。
「〈フジロック〉に出たときから、 やっぱりMETAFIVEとはちょっと違う感じになったんで、〈4人でやるんだったらもっとこういうことができそうだな〉みたいなのは、あの時に感じてはいました」(砂原良徳)。
リアクションに応えていくなかでTESTSETへと名を改め、4人で作るオリジナル楽曲の必要性を感じた彼らは、昨夏にファーストEP『EP1 TSTST』を配信リリース。
「あの時はね、オリジナルが1曲もないのはヤバいだろうって、急いでたから。とりあえず冷蔵庫にあるもので作れるものを作ろうぜっていう感じでしたけど、今回はちゃんと買い出しからやったという感じですね」(砂原)。
その〈今回〉こそ、ファースト・アルバム『1STSET』だ。EPリリース後もステージを重ねながら、もはや〈TEST〉ではない意識で結束し、編み上げられた全10曲。砂原が織り成すエレクトロ・ビートと今井のエモーショナルなヴォーカルが個性の中心になりつつも、4人の感性、それぞれの見せ場がちゃんとあり、セッションでサムシングを共有したグルーヴは、聴き手を引き込む独特の空間を生み出している。
「4人で共有してるものってなんだろうね。具体的に言語化するとなると、まだわかんない(笑)。でも、それがアルバムの形として出てるとも言える、とは思います。例えば、METAFIVEの時だったら〈YMO〉みたいなキーワードはあったけど、いまはそういう具体的なものって……ある?」(砂原)。
「全体を通して共通するもの……そうですね、熱量みたいなものは感じますよ。それは全員が持ってる。みんな積極的に曲も書くし、こういうのもやりたい、っていうのが4人全員にある。みんなすごくノリノリな感じなのはね、あります」(LEO今井)。
「あんまりそういうふうには見えない4人だけど(笑)。METAFIVEの場合は〈熱い〉っていうよりは、何でもパッとできちゃうみたいなところがあって」(砂原)。
「あと、METAFIVEは人数も多かったから。そういう意味でTESTSETは、よりバンドらしいと思いますね。そうです、ロックです、ロック。これはこれでロック。そう思います」(今井)。