2021年、高橋幸宏率いるMETAFIVEのメンバーである砂原良徳とLEO今井が白根賢一(GREAT3)と永井聖一(相対性理論)を迎え、特別編成のバンドとして〈FUJI ROCK FESTIVAL ’21〉に出演。そのことがきっかけとなって結成されたのが、TESTSETだ。彼らは翌2022年に『EP1 TSTST』を早くも発表、2023年に1stアルバム『1STST』を完成させた。さらに2024年、『EP2 TSTST』をリリース。ライブと作品制作の両面でコンスタントに活動を続けている。

そんな彼らから、矢継ぎ早に2ndアルバム『ALL HAZE』が届けられる。本作のタワーレコード オリジナル特典は、なんと〈TESTSETオリジナルフォントQRコード付ステッカー〉! タワレコでの購入者には、TESTSET作品のために作られた特製フォントをダウンロードできるグッズが配布される。この前代未聞な試みの背景とは? 独自のフォントやデザイン面のこだわりについて砂原に質問した。

TESTSET 『ALL HAZE』 ワーナー(2025)

 

〈暗号のように見える面白さ〉から生まれたフォント

――〈TESTSETオリジナルフォント〉としてバンドのフォントをイチから作った理由を教えてください。

「使用したいと思えるフォントがなかなか見つからなかったことが大きな理由です。イメージしていたのは比較的シンプルなデザインだったため、手間や時間もそれほどかからないだろうと考え、ゼロから制作することを選びました」

――砂原さんは、自作のリマスターCDとジャケットを作っていることを過去のインタビューで語っていらっしゃった記憶があります。そういった自作へのこだわりはオリジナルフォントの作成に繋がっていますか?

「直接の関係はありません。ただ、自分は昔から〈無ければ作った方が早い〉と考えるタイプなので、その延長として今回のフォント制作も自然な流れだったと思います」

――〈TESTSETフォント〉は、『1STST』のジャケットのデザインがそうであるように空白が際立って見える太さです。また、インダストリアルな印象ですが、冷たすぎないバランスも感じます。どのようなイメージで作っていったのでしょうか?

「特に具体的なイメージを持って制作したわけではありません。黒地に白抜き文字を配置し、上下の黒部分を極限まで削ると暗号のように見える――その面白さから発展して生まれたものです。実際に『1STST』のタイトルを読めない人も少なくありませんが、これは慣れると自然に読めるようになります」

――フォントのどのような点にこだわりましたか? また、気に入っているところはどこでしょうか?

「特別なこだわりはありませんが、文字としてのバランスには注意しました。気に入っている点としては、大文字入力をすると通常の大文字ではなく〈白抜きの暗号スタイル〉で表示される仕様です」

――YMOも特徴的なフォントを使用してきました。YMOのフォントからの影響はございますか?

「このフォントに関しては直接的な影響はありません」

――フォントはジャケット、ライブなどのビジュアル、ミュージックビデオでの使用が主だと思います。ほかに使用する場所や用途はございますか?

「基本的にはそうした場面で使うことを想定しています。その都度デザインするのではなく、正式にフォント化しておくことで、より気軽に使用できるようにしました」

――今回のタワーレコード特典からダウンロードしたフォントは、ファンが自由に使用していいのでしょうか?

「法律の範囲内でそれは許されます」