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エイフェックス・ツインのブラックボックスに繋がるかもしれない新旧のあれこれ

NIA ARCHIVES 『Sunrise Bang Ur Head Against Tha Wall』 Island(2023)
ジャングル/ドラムンベースが〈再評価〉される際に名の挙がることの多い俊英のEP。豪快なMPB使いの光る“Baianá”などキャッチーな楽曲は、ずっと普通に存在するメインストリーム系のドラムン勢に通じるかっこよさ。

ラウドLDN周辺における数少ないフィジカル作品は、“On & On”を含むこのミックステープ。00年代初頭っぽい甘酸っぱさのある歌唱とマイルドな浮遊感でドラムンベースやUKガラージ、ポップR&Bをソフトに聴かせる佳作だ。

ジュークやトラップの熱も伝導してアンダーグラウンドでのジャングル再燃が囁かれたちょうど10年前ぐらい、NYの奇才が仕掛けた異形のドリルンベースは往時と現在のエイフェックスの間に浮かぶような不穏さがある。

デトロイト・エレクトロの伝説によるファースト・アルバムの、こちらは新装リイシュー盤。ディストピア的で怪しい深海サウンドが当時のエイフェックスに与えた影響は現在も彼のスタイルに改めて作用しているのかも。

30年以上もロンドンで活動するDJが選曲したレイヴ文脈のコンピレーションで、90~94年のレイヴ・シーンで機能したテクノ/ハウス/ブレイクビーツが満載されている。新旧エイフェックスに通じる享楽と混沌の詰め合わせ。

ちょうど『Spanners』(95年)と併せてLPリイシューされたのでご紹介。エイフェックスと並んで90年代ワープのインテリジェント・テクノ路線を推進した大御所クルーの同レーベルでの初作。緻密な実験精神が投影された名作だ。