30年ぶりの来日にあわせて日本限定来日記念盤、そしてアンコール・プレスも登場!

 ジョン・ウィリアムズが30年ぶりに来日する。その30年という時間は、映画音楽の巨匠としてのジョンが、単なる映画音楽作曲家という枠を超えて、世界中で求められる音楽家となって行く時間に重なっていた。その世界的評価を決定付けたアルバムが『ジョン・ウィリアムズ・ライヴ・イン・ウィーン』であり、30年ぶりの来日に合わせて、その〈スペシャル・エディション〉(日本限定来日記念盤)がリリースされることになった。

JOHN WILLIAMS 『ジョン・ウィリアムズ ライヴ・イン・ウィーン(スペシャル・エディション)』 Deutsche Grammophon/ユニバーサル(2023)

 2020年のオリジナル盤との違いは3曲のボーナス・トラックが付くことだが、その録音は2022年3月にジョンがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と再共演した時のライブ音源で、映画「ハリー・ポッターと秘密の部屋」から“不死鳥フォークス”、天皇皇后両陛下(当時は皇太子同妃両殿下)のご成婚を祝う祝典曲“雅の鐘”、そして映画「スター・ウォーズ」シリーズの「フォースの覚醒」から“レジスタンスのマーチ”の3曲が選ばれた。

 2020年リリースのデラックス盤はブルーレイ+ハイレゾCDという2枚組構成だったが、今回は音源のみを2枚組CDにまとめてある。改めて聴くと、ヴァイオリンのアンネ=ゾフィー・ムターの素晴らしいテクニックと音色によるソロが印象的であると同時に、ウィーン・フィルの演奏の質感の見事さもまた浮かび上がって来る。10年以上にわたってジョンにオファーを出し続けていただけあって、〈本気〉のウィーン・フィルがそこにいる。特に抒情的なニュアンスの表現においてはやはりこのオーケストラは特別ななにかを持っているし、その演奏によってジョンの音楽の本質的な温かさや複雑なテクスチュアが表現されて行く。映画館でしかジョン・ウィリアムズの音楽に触れていないという人も実際には多いだろうが、音楽としての魅力をこの来日記念盤で新たに見つけてほしいと思う。また、ボストン・ポップス・オーケストラとの旧譜も〈名盤セレクション〉としてアンコールプレスされるので、それも要チェックだ。

 


LIVE INFORMATION
セイジ・オザワ 松本フェスティバル「オーケストラ コンサート Bプログラム」

2023年9月2日(土)長野・キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)
開演:15:00
https://www.ozawa-festival.com/programs/2023/orchestra-b.html

ドイツ・グラモフォン創立125周年 Special Gala Concert
2023年9月5日(火)東京・サントリーホール 大ホール
開演:19:00予定
https://eplus.jp/sf/detail/3904360001?P6=001&P1=0402&P59=1