ワーナーミュージックの洋楽名盤シリーズ〈FOREVER YOUNG〉のリイシュー作品を紹介する連載! 今回は古今の映画やドラマを鮮やかに彩った21枚!
洋楽名盤をリイシューするワーナーミュージック発の〈フォーエヴァー・ヤング〉シリーズからタイムレスな定番タイトルを紹介していく連載は今年も続いていきます。今回は1月21日にリリースされた第11弾から、数々の映画/ドラマを彩ったサウンドトラックの名作を合計21タイトル紹介しましょう。
いわゆるスコア集や単体アーティストの作品も兼ねたアルバム、多彩な顔ぶれによる書き下ろしのオムニバス、既発曲をコンパイルしたプレイリスト的なもの、本編の視聴体験を改めてリマインドさせるような作品、独立した音楽作品としても楽しめるアルバム……と中身はそれぞれですが、そのいずれもが物語に寄り添い、時には映像以上のパワーを発揮してきたのは言うまでもありません。聴いてから観るか、観てから聴くか――いずれにせよ見逃せない名盤たちを改めて楽しんでいきましょう!
「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」などを手掛けたフランス映画音楽界の巨匠ミシェル・ルグランが、アカデミー作曲賞に輝いた71年公開作「おもいでの夏」と、69年の日本未公開作「The Picasso Summer」という2作品の楽曲を新たにアレンジ/指揮して吹き込んだアルバム。前者の“Theme From “Summer Of ’42””は壮麗なストリングスに穏やかなサックスが絡み、思春期のひと夏の経験を描いた本編の甘美なノスタルジーを奏でる。2つの組曲形式で構成される後者も聴きものだ。
「ミッション・インポッシブル」のテーマ曲も名高いアルゼンチンの作曲家、ラロ・シフリンにとってのもうひとつの代表作がこちら。世界中にカンフー・ブームを巻き起こしたブルース・リーのアクション映画「燃えよドラゴン」のサントラで、なかでも雄叫びをフィーチャーした表題曲はよく知られるところだろう。オリエンタルな楽器の響きをブラックスプロイテーション的なファンク/ジャズの緊迫感と融合した独特のシネマティックな音像は、ウータン・クランをはじめとする後の世代に絶大な影響を与えた。
少女に取り憑いた悪魔と悪魔祓いの戦いを描いたウィリアム・フリードキン監督によるオカルト・ホラー映画の金字塔「エクソシスト」(73年)のサントラ。ポーランドの現代音楽の作曲家、クシシュトフ・ペンデレツキの前衛的な“Kanon For Orchestra And Tape”をはじめとする緊張と緩和の連続をナショナル・フィルハーモニック管弦楽団が重厚に奏でている。不気味なフレーズがあまりにも有名なマイク・オールドフィールドの“Tubular Bells”はそれ以降のホラー風味を演出するサウンドの雛形になった。
ジャニス・ジョプリンをモデルとする女性シンガーの生涯を描いたマーク・ライデル監督の映画「ローズ」のサントラで、ジャニスの遺作『Pearl』でも仕事をしたポールA・ロスチャイルドがプロデュースを担当。ローズ役で主演したベット・ミドラーのパワフルな熱唱がサミー・ヘイガー作の“Keep On Rockin’”やブルージーな“Love Me With A Feeling”など全編で炸裂し、とりわけパーシー・スレッジ“When A Man Loves A Woman”のカヴァーは圧巻だ。彼女は本作でゴールデングローブ賞を獲得した。
フランシス・F・コッポラ監督の映画史上に残る問題作「地獄の黙示録」(79年)に53分もの未公開フィルムを加えて2001年に公開された新編集版「地獄の黙示録・特別完全版」のサントラ。こちらも本編に合わせて“Clean’s Funeral”“Love Theme”というカーマイン・コッポラ(監督の父で作曲家)のスコアが追加収録されている。象徴的なドアーズ“The End”、ゲオルク・ショルティとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による〈ワルキューレの騎行〉も含め、独特の迫力に溢れた世界に圧倒されたい。
ジョン・ベルーシ&ダン・エイクロイドがTV番組「サタデー・ナイト・ライブ」内で扮するコンビを主役にしたジョン・ランディス監督のヒット映画「ザ・ブルース・ブラザーズ」の、全米13位のヒットを記録したサントラ。往年のリズム&ブルース/ソウル愛に溢れたコンビの曲を中心に劇中で披露されるレイ・チャールズ、ジェイムズ・ブラウン、アレサ・フランクリン、キャブ・キャロウェイの出番もそれぞれ豪華な聴きどころ。スティーヴ・クロッパーやドナルド・ダック・ダンら演奏陣のバックアップにも注目したい。
リドリー・スコット監督による82年公開のSF映画「ブレードランナー」にて音楽を手掛けたヴァンゲリス自身が、当時の仕事を再構成した変則的なアルバム。公開当時に公式音盤化されなかったサントラとしての機能も果たしつつ、メリー・ホプキンが歌う“Rachel’s Song”など映画本編で未使用の楽曲も織り交ぜながら、セリフの挿入やリエディットも施して新たな流れで聴かせている。本人の80年作『See You Later』からの“Memories Of Green”も含めてシンセサイザーの芸術を極めた作品だ。
現代NYを舞台にいわゆる身分違いの恋愛を描いたロマンティック・コメディ映画「ミスター・アーサー」のサントラ。バート・バカラックがスコアも含めて全編をプロデュースし、主にキャロル・ベイヤー・セイガーとの共作でニコレット・ラーソンやアンブロージア、スティーヴン・ビショップに都会的なラヴソングを提供している。なかでもクリストファー・クロスの歌う甘美な名曲“Arthur’s Theme (Best That You Can Do)”は全米1位を獲得し、アカデミー歌曲賞とゴールデングローブ主題歌賞に輝いた。
エミリオ・エステベス、デミ・ムーア、ロブ・ロウら当時の新進スターが集まったジョエル・シューマッカー監督による青春映画「セント・エルモス・ファイアー」のサントラ。デヴィッド・フォスターが初めて手掛けたサントラでもあり、ジョン・パーに提供した疾走感のあるロック・チューン“St. Elmo’s Fire (Man In Motion)”が全米1位を記録。フォスター自身とエイミー・ホランドの歌唱したドラマティックな〈愛のテーマ〉にもこの時代ならではの大仰な美がある。エアプレイ名義で最後の曲となるアップにも注目。
ヴィム・ヴェンダース監督の代表作にして、84年のカンヌ映画祭でパルムドールに輝いた「パリ、テキサス」。ライ・クーダーによるこちらのサントラは、荒涼とした風景や主人公トラヴィス(あのUKのバンドの名前の由来でもある)の心理を素朴なスライド・ギター主体で描写した内容で本編同様に高く評価された。ハリー・ディーン・スタントンの歌うメキシコ民謡“Canción Mixteca”やブラインド・ウィリー・ジョンソンのカヴァー“Dark Was The Night”など隅々まで深い滋味に溢れた傑作だ。
スティーヴン・キング原作、ロブ・ライナー監督による傑作青春映画「スタンド・バイ・ミー」のサントラは、本編の時代設定に合わせた50~60年代初頭のドゥワップやロックンロールが満載され、ノスタルジックで眩しいオールディーズ名曲集としても単純に楽しめる仕上がり。コーデッツの“Lollipop”をはじめ、バディ・ホリーやコースターズ、シルエッツらの定番曲が並ぶが、なかでもベンE・キングによる“Stand By Me”(61年)は25年ぶりに全米TOP 10に返り咲くリヴァイヴァル・ヒットとなった。
トム・クルーズがバーテンダーを演じた映画「カクテル」のサントラは、ビーチ・ボーイズの極楽リゾート・ポップ“Kokomo”、近年もCMなどで使われるボビー・マクファーリンのアカペラ曲“Don’t Worry, Be Happy”という2つの全米No. 1シングルを生んだことで名高い一枚。明朗なスターシップ節の“Wild Again”からジョン・クーガー・メレンキャンプによる“Rave On!”やジョージア・サテライトの“Hippy Hippy Shake”という古典のカヴァーにまで至る幅広さで、時代の変わり目の色調を示している。
90〜91年に放送されて社会現象となったデヴィッド・リンチ監督のTVシリーズ「ツイン・ピークス」。不穏な超常現象や猟奇的なミステリーを内包して90年代的な退廃や悪趣味を予見したドラマ世界は、アンジェロ・バダラメンティの音楽によって濃密に色付けられた。ジャズやアンビエントのインストを中心に、“Falling”などジュリー・クルーズの歌唱曲が幻惑的なドリーム・ポップとして響く。デヴィッド・ボウイからラナ・デル・レイまでに影響を及ぼした、サントラとしての機能美に終わらない魅力的な一枚だ。
J. K. ローリングの原作を元にして映画史上に残るファンタジー長編シリーズの金字塔となった、〈ハリー・ポッター〉シリーズの記念すべき第1弾作品「ハリー・ポッターと賢者の石」のサントラ。「スター・ウォーズ」や「E.T.」などの音楽を手掛けてきた巨匠ジョン・ウィリアムズにとっても21世紀の代表作となり、なかでも“Hedwig’s Theme”は以降のシリーズでも使用されている。アカデミー賞で〈最優秀オリジナル楽曲〉部門にノミネートされた。
世界的に人気が現象化するなかで公開されたシリーズ第2作「ハリー・ポッターと秘密の部屋」のサントラ。引き続きジョン・ウィリアムズが作曲から指揮まで手掛ける予定だったが、別仕事での多忙さもあって、初作からの素材を作曲家/指揮者のウィリアム・ロスが翻案し、ロンドン交響楽団とのセッションも彼の指揮で録音された(編曲はコンラッド・ポープらが担当)。本編が大ヒットしていた日本でも前作に続いてゴールドディスクに認定されている。
テネイシャスDで実際にバンド活動も行うジャック・ブラックが主演し、リチャード・リンクレイターが監督して全米No. 1に輝いた音楽コメディ映画「スクール・オブ・ロック」のサントラ。ザ・フーやレッド・ツェッペリン、クリーム、ドアーズ、T・レックスのようなレジェンドから(当時)新進のダークネスやブラック・キーズまで明快な顔ぶれによる問答無用のロック・ナンバーがズラリと並んでいる。ブラック演じるデューイと生徒たちの歌をムーニー・スズキがバックアップしたAC/DC風味のタイトル曲や、劇中に登場するノー・ヴァカンシーの楽曲など書き下ろしのオリジナル曲も楽しい。
人気シリーズの第3弾「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のサントラ。巨匠ジョン・ウィリアムズがそのまま起用され、このシリーズで彼が音楽を担当した最後の作品となった。バロック音楽に加えてジャズの要素も取り入れながら前2作とは異なる広がりも見せつつ、全体的にダークな雰囲気を増している。シェイクスピアの「マクベス」から引用した歌詞の合唱曲“Double Trouble”は映画の序盤にホグワーツの大広間で歌われていてとりわけ印象的。
プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」の世界を現代のNYに置き換えてジョナサン・ラーソンが書き、96年の初上演からロングランとなって世界中で公演されているミュージカル名作「レント」。その人気を受けた映画版でもイディナ・メンゼルらブロードウェイのキャストが多く再演し、こちらのサントラでもパフォーマンス。グリーン・デイ『American Idiot』での手腕を買われたロブ・カヴァロがプロデュースを担当し、“Seasons Of Love”をはじめとする珠玉のナンバーをよりモダンに調理している。
メリル・ストリープとアン・ハサウェイの主演で世界的なヒットとなり、2026年の続編公開も話題の映画「プラダを着た悪魔」のサントラ。本編での使用をきっかけにした最大のヒットとなるケイティ・タンストール“Suddenly I See”は未収録ながら、マドンナの“Vogue”やアラニス・モリセットによるシールのカヴァー“Crazy”、ビター:スウィートの“Bittersweet Faith”といった楽曲が作品そのもののファッショナブルな側面を彩る。コレットやデヴィッド・モラレス×カスケイドのハウス・トラックも心地良い。
MV監督として知られたマーク・ウェブの長編デビュー作で、ジョセフ・ゴードン=レヴィットとズーイー・デシャネルが主演した「(500)日のサマー」のサントラ(これが初の日本盤リリース)。スミスの“There Is A Light That Never Goes Out”を筆頭に音楽が物語において重要な役割を果たす作品だけに、レジーナ・スペクターやホール&オーツ、ファイスト、ダヴズらによる新旧の楽曲が本編のビタースウィートな情感を絶妙に伝えてくる。デシャネルによるシー&ヒムによるスミスのカヴァー“Please, Please, Please Let Me Get What I Want”も聴きもの。ロングセラーとなって全米7位を記録した。
20世紀のアメリカ芸能界を代表するレジェンド、フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズの波乱万丈な音楽人生を綴ってトニー賞に輝いた同名ミュージカルを巨匠クリント・イーストウッドが映画化した「ジャージー・ボーイズ」のサントラ。ボブ・ゴーディオ&ボブ・クルーによる問答無用の名曲“Can’t Take My Eyes Off You”を筆頭に、映画キャストの録音とブロードウェイ・キャストの録音、そして原曲のオリジナル音源が混在するのがポイント。ブロードウェイと映画の双方でヴァリを演じたジョン・ロイド・ヤングの歌唱をメインに、ヴァリとグループのヒット・ナンバーが堪能できる。




















