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立ち上がってくれる友達

 ところで、今回バンドは、これまでサポート・メンバーだったエヴァレット・ブラッドリー(パーカッション/バッキング・ヴォーカル)と、プロデューサー兼ソングライターのジョン・シャンクス(ギター)を正式メンバーに迎え、7人編成になっているのだが、ジョンは“Legendary”で〈俺のために立ち上がってくれる友達がたくさんいるんだ〉と歌っているのだから泣かせるではないか。

 その言葉通り、前作『2020』で全10曲中8曲を一人で書いていたジョンは今回、全12曲中10曲を以前のようにジョン・シャンクスら多くのソングライターたちと共作している。しかも、ビヨンセ他のヒット・ナンバーを書いてきたライアン・テダー(ワンリパブリック)をはじめとするソングライター陣の中にはジェイソン・イズベルとエド・シーランもいるのだから驚きだ。

 いまやアカデミー受賞アーティストとは言え、もともとジェイソン・イズベルはグランジ上がりのサザン・ロック・バンド、ドライヴ・バイ・トラッカーズのギタリストとしてロック・ファンに名前を知られるようになったミュージシャンだ。2007年にソロに転じると、依存症を克服しながら精力的に活動を続け、これまで3つの作品がグラミーの最優秀アメリカーナ・アルバム部門を受賞している。そんなジェイソンにとって、ボン・ジョヴィのアルバムに参加することは、ある意味、勲章みたいなものだ。

 音楽活動にとどまらない慈善活動が認められ、今年2月に〈ミュージケアーズ・パーソン・オブ・ザ・イヤー〉に選ばれたジョンを称えるコンサートにジョニ・ミッチェル、ブルース・スプリングスティーンらと共に出演したジェイソンは、ボン・ジョヴィ“Wanted Dead Or Alive”のカヴァーを披露した。おばさんの影響で子どもの頃からボン・ジョヴィを聴いていたというジェイソンは、この曲を7歳の頃からギターで弾いていたそうだ。

 そんなジェイソンがジョン、ジョン・シャンクスと共作した“Waves”は泣きをたっぷりと含んだバラード……なのだが、ジョンの熱唱や、音色を歪ませたハードなギター・リフを踏まえると、ロック・バラードという表現が相応しい。

 一方、説明不要の不世出のシンガー・ソングライター、エド・シーランがジョンと2人で書いた“Living In Paradise”はメロウなポップソング。サビでぐっと盛り上げる展開は、いかにもボン・ジョヴィながら、ディレイを掛けたリズム・ギターも含め、さらにポップに振り切った印象も。しかし、そういう試みが異色にならない曲の振り幅が今回の『Forever』にはある。