ビーチ・ボーイズのドキュメンタリー作品「ビーチ・ボーイズ:ポップ・ミュージック・レボリューション」が、現在ディズニープラスにて配信中だ。初公開となる記録映像やバンドメンバー、関係者らのインタビューなどを用いた本作は、ポップミュージックに革命を起こした伝説的バンドの軌跡が綴られている。今回は、そんな「ビーチ・ボーイズ:ポップ・ミュージック・レボリューション」の見どころを紹介。未見の人は以下のテキストを読んだのち、ぜひ鑑賞してほしい。

 

赤裸々に映し出されるビーチ・ボーイズのすべて

ビーチ・ボーイズのドキュメンタリーといえば、これまでに「ザ・ビーチ・ボーイズ/アン・アメリカン・バンド」(1985年)や「エンドレス・ハーモニー」(1998年)といった作品が製作されたほか、2022年にはメンバーのブライアン・ウィルソンに密着した初のドキュメンタリー映画「ブライアン・ウィルソン/約束の旅路」が公開されたことも記憶に新しい。また、直近ではアンソロジー本「The Beach Boys By the Beach Boys」が米国で刊行されたこともあり、ビーチ・ボーイズの活動に改めてスポットライトを当てようという機運が高まっているのかもしれない。

本作「ビーチ・ボーイズ:ポップ・ミュージック・レボリューション」のテーマは〈ファミリー〉。ブライアン、デニス、カールのウィルソン三兄弟、従兄弟のマイク・ラブ、そして、友人のアル・ジャーディンとともに結成され、ウィルソン家の父・マリーがマネージャーを務めるという、初期ビーチ・ボーイズが家族を中心とした近しい関係で構成されていたことはよく知られている。劇中では、数々の名曲や名パフォーマンスとともに、そのポジティブな側面とネガティブな側面をバランスよく抽出し、〈ファミリーバンド〉としてのビーチ・ボーイズの歴史を浮き上がらせていく。

Photo by Getty Images

最新映像を含むブライアンらのインタビューはもちろん、デヴィッド・マークスやブルース・ジョンストン、ブロンディ・チャップリンといった途中加入のメンバー、ハル・ブレインをはじめとするレコーディングに参加したスタジオミュージシャンなど、さまざまな〈ビーチ・ボーイズファミリー〉による当時の証言やコメントが数多く登場するが、その中にはブライアンの最初の妻であるマリリン・ウィルソン・ラザフォードの姿もあった。貴重なプライベートフィルムや写真とともに、ブライアンとの出会いや自宅での過ごし方など〈家族〉だったからこそ知りえる甘酸っぱいエピソードを披露する場面も。なお、ロネッツの“Be My Baby”に魅せられたブライアンが毎日レコードを再生していたという有名なエピソードについては、「ウンザリしたわ」とパートナーならではのコメントを残しているのが微笑ましくもある。

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一方で、ソングライターとしても活動していた父・マリーによるステージやレコーディングルームへの現場介入や家庭内暴力など、ファンにはおなじみの愚行の数々も映し出されている。録音現場で繰り広げられる父と息子の口論の模様は、音声のみながらもあまりの生々しさに耳にするのが辛くなるほどで、淡々と「夫は息子に嫉妬した」と語る母・オードリーの姿がなんとも切ない。さらに、マリーの決定的なとある行為がきっかけでメンバー同士による裁判闘争が勃発。〈家族の法的争い〉とも報道されたその展開により、ビーチ・ボーイズはそれぞれが別々の道を歩むことになる。