カミラ・カベロの通算4作⽬となるスタジオアルバム『C,XOXO』が2024年6月28日にリリースされた。

本作のインスピレーションとなったのは、彼⼥が幼少期を過ごした⽶フロリダ州のマイアミだという。カミラ⾃⾝がソングライティングを⼿がけ、ポップに留まらないジャンルを開拓し、ビジュアル⾯でも自らの枠を押し広げた本作は、彼女のシンガーソングライターとしての進化を象徴する作品となっている。

日本語を用いた楽曲も収録された最新作について、カミラ自身に語ってもらった。 *Mikiki編集部

CAMILA CABELLO 『C,XOXO』 Interscope/ユニバーサル(2024)

 

歌詞に用いた美しい日本語の言葉

――アルバム『C,XOXO』のコンセプトと、そのインスピレーションについて教えていただけますか?

「このアルバムはたくさんのことからインスピレーションを受けた気がしてる。“DREAM-GIRLS”で〈all the girls that are learning to be women now(大人の女性になろうとしてる女の子たち)〉って歌っている歌詞があるけど、アルバムの大きなテーマはそういうものだと思う。〈大人になる〉ということ、〈女の子から女性になる〉みたいな、自信に満ちたエネルギーのようなものがこの作品にはあるんだよね。

〈C,XOXO〉というペルソナは、私のそういう部分を表現したもの。今回の作品やパフォーマンスで、自分のそういう自信に満ちたエネルギーを表現したいと思ったの。それから友情もね」

――本作は出身地であるマイアミにインスピレーションを得たアルバムになっているそうですが、具体的にどのような影響を受けたのでしょう?

「7歳のときに母親と一緒にマイアミに引っ越したのだけど、あの街にはとても感謝しているの。たくさんの移民の家族が住んでいて、私たちにとっての新しいホームになった。自分を受け入れてくれた場所を擬人化して、そこに愛を捧げたり、ラブレターを書いたりすることは、本当に美しいことだよね。このアルバムでは、私なりにそういうことを表現してる。

マイアミは音楽の好みをはじめ、私自身の多くを形成してくれた場所。文化のるつぼのような場所で、ラテンもラップも、アフロビートも、カリブ音楽も流れてる。私の音楽の好みも、まさにそういうものなの。例えば、お気に入りのダンススポットはいつだってマイアミにある。そこには最高の音楽が流れているからね」

――アルバムのトレーラー映像では、マイアミを〈カリビアントーキョー〉と呼んでいましたね。マイアミの近未来的な雰囲気が東京を思い起こさせたのでしょうか?

「その質問最高! 東京はすごく『C,XOXO』的だと思ってるの。このアルバムには、未来的なエネルギーやテーマがあるような気がしてるんだよね。ステージにはロボット犬がいて、色使いはシルバーのクロームメッキが多くて、何もかもが西暦3000年からやってきた、みたいな。マイアミのネオンカラーには近未来的な側面があると思っていて、カリブ海における東京のような場所を連想させるの。また東京へ行きたいなってずっと思ってる。すごく『C,XOXO』的だし、とりわけ“Chanel No.5”では、ヴァースで日本語に触れているしね」

――確かに“Chanel No.5”では〈折り紙〉〈ムラカミ〉〈ワビサビ〉〈ウマミ〉〈オマカセ〉といった日本語のフレーズが数多く登場します。日本語を歌詞に入れることにした経緯を教えてください。また、この曲のタイトルでもある香水、シャネル N°5は何を象徴しているのでしょうか?

「“Chanel No.5”では、メロディーを思いついたときにまず母音が浮かんできたの。それから歌詞を書くときに、RhymeZoneという韻を検索するサイトを使ったんだけど、そこにあった言葉の多くが日本語だったんだよね。それから、個人的に本当に美しくて魅力的だと思う日本語も入れた。その頃に村上春樹の本を読んでいたということもあったけど、とにかく魅了される日本語を詰め込んだんだ。

私は食べることが大好きなんだけど、〈ウマミ〉が5番目か6番目の基本味と考えられているのがいいなと思ったし、美しさと不完全さの概念である〈ワビサビ〉もすごく素敵な言葉だと思う。

この楽曲にあるのはそういうコンセプトで、私が美しいと思ったことを、美しく歌ったということ。シャネル N°5は、私がある人と一緒にいた時期につけていた香水で、彼がそれを大好きだったんだよね。だから、この香水についての曲を書きたいってずっと思っていたの」