Page 2 / 2 1ページ目から読む

冷めたニューウェーブ期にも発揮したワイルドさ

それは、後者のYMOによるビートルズ・カバー“Day Tripper”においても同様で、ディーヴォによるローリング・ストーンズのカバー“(I Can’t Get No) Satisfaction”への対抗心がメラメラと立ちのぼるニューウェーブ的な音作りの場において彼のワイルドなロックギターが果たしていたのは、突然変異体と括られがちな彼らとメインストリームをしっかり結びつける役割であったのではないかと。

相手が冷たい感触をしたコンピューターだろうが、攻撃的なパンクだろうが、どちらにも楽しさを見出して感応してしまう柔軟性の持ち主。鮎川と同じく2023年1月にこの世を去った高橋ユキヒロと鮎川の共作曲“Murdered By The Music”でのボコーダーを使ったフリーキーなボーカルと真正面から対峙してみせるプレイからもそんな彼の性格がしっかりと垣間見れよう。

 

クール・ソロならぬホット・ソロが大展開

もちろん愛機である黒のレスポール・カスタムが火を噴くロックチューンも豊富に揃っている。ガレージパンク的というか、なにやら侍ジャズふうでもあるシナロケによるアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズのカバー“危険な関係のブルース”、ウィルコ・ジョンソンやクリス・スペディングを彷彿とさせる切れ味鋭いカッティングがカッコいいロケッツの“DYNAMITE”、それに『IZUMIYA-SELF COVERS』(1988年)に収録された泉谷しげるの“火の鳥”のリメイクバージョンなどは容赦なく弾きまくる誠さんが頼もしくてしょうがないナンバー。

ロンドンに赴き、ウィルコ・ジョンソンらとガッチリ組んでレコーディングしたソロアルバム『LONDON SESSION』2部作(1993年)からも“RUMOR”や“DOBUNEZUMI”、そしてサンハウス時代の“CATFISH”といった強力なナンバーがピックアップされており、クール・ソロならぬホット・ソロが大展開。

異色ということでは、原由子の“ヨコハマ・モガ”がピカイチだろう。レトロなジャズ歌謡といった風情のこの曲で彼はデュエット相手を務めており、間奏ではスウィートなセリフ回しまで披露。初めて耳にする方たちはきっと笑みが止まらないだろう。

そのほか、アーシーなブルーズギターを披露するジャズピアニストの佐山雅弘の“From Dusk Till Dawn”や、甲本ヒロト、清春、チバユウスケ、シーナといった面々がボーカルを採るイジワルケイ・オールスターズの“Say Good Bye(赤バージョン)”なども収録。個人的には、ギター同様に誠さんが熱い歌心をたぎらせる“VINTAGE VIOLENCE”がピックアップされているのが嬉しい。

 

ブランキーとの名演や小山田圭吾の再構築などレア曲が占めるディスク2

ところで今回話題を集めること必至なのが、ディスク2のほう。すべてが初CD化音源で占められているこちらには、誰もが目を丸くさせそうなコラボ曲が顔を見せているのだ。

ひとつめは、BLANKEY JET CITYとの“I’M FLASH “Consolation Prize”(ホラ吹きイナズマ)”。アートディレクター、信藤三雄が監督した映画「代官山物語」の続編に使用される予定で1999年12月に録音されたものの、映画自体がお蔵入りしたことで未発表のままだったレアトラックなのだが、暴走気味のギターといい、重戦車を思わせるバンドアンサンブルといい、キース・リチャーズ&ジ・エクスペンシヴ・ワイノーズのレコードを連想させるような名演が繰り広げられる。

すさまじさでいったら、2003年にビクター・スタジオで再録音された音源を小山田圭吾が再構築した未発表トラック“STIFF LIPS”も引けを取らない。シナロケの最高傑作『真空パック』(1979年)に収録されていた鮎川誠作曲のオリジナルは、オールドタイプのロックンロールとテクノポップが高度な融合を果たした快作だったが、そんな楽曲の歴史的成り立ちをしっかりと踏まえつつ、いっそう刺激的な音像を浮かび上がらせる楽曲へと至らしめているところが素晴らしい。

またライブテイクでは、ジョー山中との“HIROSIMA”、Charとの“White Room”&“ビールス カプセル”、そして“MY WAY”&“やらないか”といったシナロケの近年のライブから選ばれた音源が並べられている。

とにかく隅から隅までビリビリするようなギターサウンドが充満しており、ロック的興奮を真空パックすることに成功したナイスなコンピなのである。

 


RELEASE INFORMATION

鮎川誠 『VINTAGE VIOLENCE~鮎川誠GUITAR WORKS』 ビクター(2024)

リリース日:2024年10月2日(水)
品番:VICL-77061/77062
価格:3,850円(税込)
高音質UHQCD仕様/全曲最新リマスタリング/最新ライナーノーツ(鳥井賀句)

TRACKLIST
Disc 1
1. レモンティー/サンハウス
2. Day Tripper/YELLOW MAGIC ORCHESTRA
3. Murder By The Music/高橋ユキヒロ
4. 危険な関係のブルース/シーナ&ロケッツ
5. ビールス カプセル/鮎川誠
6. キング・スネーク・ブルース/サンハウス
7. 地獄へドライブ/サンハウス 
8. ヨコハマ・モガ/原由子
9. VINTAGE VIOLENCE/The Rokkets
10. DYNAMITE/The Rokkets
11. BLACK SNAKE/The Rokkets
12. 火の鳥/泉谷しげる
13. RUMOR/鮎川誠
14. DOBUNEZUMI/鮎川誠
15. CATFISH/鮎川誠
16. From Dusk Till Dawn/佐山雅弘       
17. Say Good Bye(赤バージョン)/イジワルケイ・オールスターズ
18. ロックンロール ミューズ/菊 ft. 鮎川誠、シーナ&ロケッツ

Disc 2(全曲初CD化)
1. I’M FLASH “Consolation Prize”(ホラ吹きイナズマ)/鮎川誠 & BLANKEY JET CITY★
2. STIFF LIPS/鮎川誠&シーナ&小山田圭吾リモデル★
3. HIROSHIMA(LIVE)/ジョー山中 ft. 鮎川誠★
4. White Room(LIVE)/シーナ&ロケッツ with Char★
5. ビールス カプセル(LIVE)/シーナ&ロケッツ with Char★
6. MY WAY(LIVE)/シーナ&ロケッツ★
7. やらないか(LIVE)/シーナ&ロケッツ★

★…初CD化

 

LIVE INFORMATION
シーナ&ロケッツ 47th Anniversary LIVE

2024年11月23日(土)東京・新宿 LOFT
https://sheena.cc/ticket/n.php?id=1724998726

 


PROFILE: 鮎川 誠
1948年、 福岡県久留米市生まれ。 シーナ&ロケッツのバンドマスター/ギタリスト。1970~1978年、福岡を代表するバンド・サンハウスのリードギタリスト/コンポーザーとして活動後、1978年にシーナ&ロケッツを結成。“涙のハイウェイ”でデビュー。“ユー・メイ・ドリーム”が大ヒットとなる。エルヴィス・コステロやラモーンズともライブで共演し、1981年にはアルバム『SHEENA & THE ROKKETS』でアメリカデビューも果たす。また当時としては画期的であったセルフプロダクションの立ち上げなどを通してプロデュース集団としてのシーナ&ロケッツを浸透させ、多彩な活動に乗り出した。その中でも〈ロックは生だ。音で勝負!〉という鮎川の指針のもと、アリーナクラスから数々のフェス、ライブハウスに至るまで、妥協なきステージングで繰り広げられるライブを中心に活動を続けた。質、量ともに群を抜いたその活動歴はジャンルを超え、日本を代表するロックバンドとしての可能性を追求し続けた。自身のソロ作としては『クール・ソロ』、『London Session』シリーズがある。音楽以外でもモデルとして多くのテレビCMや広告に出演するなど、その独特の存在感で多くの人を惹きつけてきた。俳優としてNHK「ちゅらさん」 などに出演。映画では「ジャージの二人」(中村義洋監督)をはじめ多くの出演作があるほか、「ワルボロ」(隅田靖監督)では映画音楽を手がけた。また音楽やコンピュータへの知識を活かした「’60sロック自伝」、「200CDロックンロール」、「ローリング・ストーンズが大好きな僕たち」(山川健一と共著)、「DOS/Vブルース」などの著作もある。

■鮎川誠
Facebook:https://www.facebook.com/ayukawamakoto
Instagram:https://www.instagram.com/aykwmkt/
X(旧Twitter):https://x.com/rokkets
オフィシャルサイト:http://www.rokkets.com/
ショップ:https://sheena.cc/
ROKKETDUCTION:https://rokketduction.com/

■シーナ&ロケッツ
X(旧Twitter):https://x.com/rokketduction/
Facebook:https://www.facebook.com/sheenarokkets/
YouTube:https://www.youtube.com/@SHEENATHEROKKETS