今年、国内で劇場公開されるECMの映画「サウンズ&サイレンス」のサウンドトラック。映画はレーベルの設立者でありプロデューサーのマンフレート・アイヒャーを約五年間追いかけて制作されたドキュメンタリーで、このサントラは撮影時にレコーディングされた音源を中心に、既存の音源を数曲交えて構成される。キース・ジャレットが演奏するグルジェフのピアノ曲、アルヴォ・ペルトの音楽の敬虔な響き、民俗色豊かなエレニ・カラインドルーの作品、ディノ・サルーシの切ないバンドネオンが奏でる音楽がそれぞれ2曲づつ対称的に配置されて、全体に儀式的な雰囲気を演出する。不思議なことにECMの沈黙が縁取るサウンドにはどこか土の匂いがする。