
WONKの転機から綴られた内省的な歌詞
――楽曲はどのような順で出来あがったんですか?
長塚「“Skyward”は前作の制作時からあって、“Passione”、“Fleeting Fantasy”が出来て……その後は忘れちゃいましたね」
荒田「でも1曲目にこういう曲を入れたいってのは、僕は頭の中に最初からありました」
長塚「きっかけになる出来事があったんですよ、WONKの中で。今回、全体的に内省的な歌詞が多いんです。それは僕個人がそういう時期だったっていうのもあるんですけど、大きなきっかけになる出来事が1年半か2年前ぐらいにあって、そのことについてメンバー4人で朝まで話し合うことがあったんです」
荒田「そこで〈この話し合いの内容を曲にすればいいじゃん〉ってなったんですよね」
長塚「〈その時に思ったことをそのまま書こうぜ〉って。そこからだんだん時間が経つにつれて、自分の人生を見直した時期もあって。その中で自分が気づいたこと、思ったこと、感じたことをストックして、歌詞に落とし込んでいきました。そうして出来たのが“Fragments”ですね」
荒田「アルバム全体の構成というか〈どんな建物を作るか〉は僕の頭の中にぼんやりあったんです。その上で、先にリリースしていた“Passione”とか“Fleeting Fantasy”というアルバムに入れなきゃいけない曲もあって。例えるなら、商業施設を作ろうって考えた時に、保育園とゲームセンターは入れなきゃいけないっていうことだけが決まっている、みたいな状況だったんです。
そこに“Fragments”が出来たことで、建物のエントランスが決まったんですよね。エントランスのデザインが決まったことで、建物全体のイメージが頭の中に広がった。そこからそのイメージを1曲ずつ、自分で作ったり、自分から出てこない曲は〈(江﨑)文武に頼もう〉〈(井上)幹さんに頼もう〉という感じでアルバム全体を作っていきました」
――先ほど長塚さんから〈今回は歌詞が内省的になっている〉というお話がありましたが、歌詞は基本的にすべて長塚さん主導で書かれるのでしょうか?
長塚「もちろん〈この曲はこれをテーマにしたい〉というのが全て僕から出てきたわけではないですね。“Here I Am”は荒田から〈カオス〉をテーマにしてほしいっていう希望がありました」
久保田利伸と〈今、東京で生きること〉を歌ったコラボ曲“Life Like This”
――久保田利伸さんとコラボした“Life Like This”ではどうでしたか?
長塚「僕はコラボをする時に、一緒に歌う方との共通項を常に探し求めるんです。久保田さんと僕たちは違う世代だけど、カッコいいなと思ってきたルーツの音楽だったり、共通項はたくさんあったんです。同じ国、同じ街にいて同じ空気を吸って同時に生きてる。その中で見てる同じ景色を、時にそれぞれの視点から描いたり時に共感できることを書こうと。
この曲を書いていた時、ちょうどニュースで見たのは夜の街のことだったけど、日々生きづらくなっている現状みたいなことが伝わればいいなって感じです。〈今、東京で生きるということ〉を色々模索して話し合って、それで出来あがったのがこの曲です」
――お話を聞いて“Life Like This”の歌詞を見ると、茶化すわけではないんですけど、探し当てた共通項が〈この国はどうなるの?〉だったっていうのは皮肉な話ですね。
長塚「そうですよね。本当はもっと夢や希望やハピネスを歌ったほうが、いろんな人に夢を与えられるのかもしれないけど、今ってSNSやメディアを見ていても、人を批判する、批評する、蹴落とすようなものがどうしても目に留まりがちじゃないですか? 人が人を貶すようなものって、数字が取れちゃう、目に留まりやすいって事実があると思うんです。そういった僕らが感じている〈現状ってすごく悲しいよね〉ということをそのまま書こうって思いました。普段直接的に言葉にして話すことは無いことも、僕らは歌で表現できるなと思っているので。
歌詞の内容に関しては久保田さんとも話し合いをして、その上で作詞家の渡辺なつみさんに今のお話をそのまま伝えて作詞をお願いして、書いていただいた歌詞に対して何度も話し合いをして固めていきました」
――ちなみに久保田さんのボーカルレコーディングは立ち会われたんですか?
荒田「立ち会わせていただきました。すごくストイックでしたね。ずっと走り続けている感じでした」
長塚「最後の最後まで荒田と2人でスタジオのデスクに向かって〈ここのパートはこのテイクがいい〉という話をずっとしていたよね。本当に全部のテイクが良いんですよ。それをさらにストイックに選び抜いていく久保田さんを見られて刺激的だったし、学びがとにかく多かったですね」