今を生き延び、新しい時代を歩む決意
――3曲収録された、山中さんのオリジナル曲についても話してください。
「“Stride”というのは〈大股で歩く〉とか〈闊歩する〉という意味なんですけど、100年という時間を歩いていくという意味もありますし、これからの100年に向かって歩むという意味でもあります。
今作は26枚目のアルバムなんです。クオーターじゃないですけど、〈25〉というのは一つの単位ですよね。その区切りを経て、今回また新たに闊歩していくという意味合いも込めました。今の社会情勢はいろんなものを抱えていますけど、そこを生き延びていく。そういう決意ですね。
“The Horizon”は、過去を見つつ、やっぱり新しい地平を見ていきたいという気持ちの曲です」
――それぞれ、前向きなタイトルですね。
「すごく前向きです」
――タイトル曲の“Carry On”もまったくそうですね。
「この新しいアルバムで、私は進んでいく。そういう気持ちを出しています」
――ぼくは“Carry On”が大好きで、聴き手を誘うようないい曲ですね。ちょっと気分屋的なソロにもわくわくします。
「ありがとうございます。この曲、ライブでやるとすごく楽しいんですよ。一応ゆるい括りではブルース形式なんです。ガムラン音楽のように、一つの大きなフォームというか、細かい小節では区切らずに大きなフォームでお互いが好きにその時間を共有していくような曲です」
信頼できるリズムセクションとのピアノトリオ
――新たな時代の最初のアルバムは、やっぱり今一番信頼できるリズムセクションとのトリオという編成で録りたいと思ったわけですか。
「そうですね。最初の2回のレコーディングではジョン(・デイヴィス)が叩いてたんですけど、ジョンは今LAに住んでハリウッドの仕事をしており、8月のレコーティングには参加できませんでした。そこで、新たにラッセル・カーターに演奏していただきました」
――ラッセル・カーターはどんなドラマーですか。
「サマラ・ジョイともやっているんじゃないかな。ニューヨークの人ならみんな知っている30代のドラマーです。ジョンとまた違って、ちょっとオールドスクールな感じなんです。アルバムでの2人の対比も面白いかなと思います。先に録った曲をラッセルが入ったセッションで録り直したものもあるんですが、彼が入ったことで“Hallucinations”は(ビートを)セカンドラインに変えました」
――全曲でダブルベースを弾いているYoshi Wakiさんとの付き合いは長いですよね。
「もう、18歳の頃から知ってます」
――彼もずっとニューヨークで活動していますが、そんな昔からの知り合いなんですか。
「バークリーでも一緒でしたし、私がジャズをやる前から彼はもうプロでした」
――では、山中さんの悪いところもいっぱい知っている?
「知ってます(笑)。楽譜が汚いと、書き直されてしまったり。彼は参加したバンドでグラミー賞ももらっています」
――ドラマーのジョン・デイヴィスともけっこう長いですよね。
「ジョンも長いです。震災があったころからですね。ジョンもまたどんどん進化してるし、ライブで聴いてもらうとそれが分かると思います。ジョンはダイナミクスとかフレーズの新しさとかをすごく引き出してくれるタイプですね。彼はキーボードもすごく上手で、今は作曲にも力を入れていて、スタジオでいろんな制作をしています」
RELEASE INFORMATION

リリース日:2024年10月9日(水)
■通常盤
品番:UCCJ-2237
仕様:SHM-CD
価格:3,300円(税込)
■限定盤

品番:UCCJ-9249
仕様:UHQ-CD+ミニフォトブック
価格:4,400円(税込)
TRACKLIST
1. Carry On (Chihiro Yamanaka)
2. Moon River (Henry Mancini)
3. Tempus Figit (Bud Powell)
4. Ai Shiteru, Ai Shitenai (Ryuichi Sakamoto)
5. Hallucination (Bud Powell)
6. The Horizon (Chihiro Yamanaka)
7. Un Poco Loco (Bud Powell)
8. Sunflower (Henry Mancini)
9. Stride (Chihiro Yamanaka)
10. Oblivion (Bud Powell)
11. Kanashimi No Lucky Star (Haruomi Hosono) ※限定盤のみ収録のボーナストラック
■パーソネル
Chihiro Yamanaka: Piano, Keyboards
Yoshi Waki: Bass
John Davis: Drums (on 2, 3, 4, 6, 7, 8, 11)
Russell Carter: Drums (on 1, 5, 9, 10)
プロデュース:山中千尋
マスタリング:グレッグ・カルビ
LIVE INFORMATION
2025年2月6日(木)神奈川・ビルボートライブ横浜
2025年4月12日(土)富山・魚津 新川文化ホール
PROFILE: 山中千尋
ニューヨークを拠点に世界を駆ける、日本が誇る女性ジャズピアニスト山中千尋。リリースされたアルバムはすべて国内のあらゆるジャズチャートで1位を獲得。米メジャーレーベルのデッカと契約を果たし、全米デビューも飾った、ダイナミズムと超絶技巧、ジャズの伝統と斬新なアレンジを併せ持つ、今まさに活動の絶頂期を迎えているピアニスト。2020年にニューヨークのアポロ・シアターでの公演がソールドアウトとなった。2019年にサン・セバスティアン国際ジャズ・フェスティバルのトップラインナップになり、北京のブルーノートで4公演を開催、名門ジャズクラブ、ロンドンのロニー・スコット、パリのニュー・モーニング、ミラノのブルーノート、ワシントンのブルース・アレイに出演。それらの公演はソールドアウトとなるほどの好評を博し、英ガーディアン紙のレビューでも激賞される。米NBCラジオ、カーネギー・ホール、ケネディ・センターにトリオで出演したほか、リンカーン・センターでのジェームス・P・ジョンソン・トリビュート・コンサートにイーサン・アイバーソン、エリック・ルイスらとともにソロで出演。また“Rhapsody In Blue”をNHK交響楽団、東京都交響楽団、群馬交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団のほか多くのオーケストラとの共演で演奏し、絶賛された。第23回日本ゴールドディスク大賞、スイングジャーナル誌ジャズ・ディスク大賞、NISSAN PRESENTS JAZZ JAPAN AWARDなど権威ある賞を多数受賞。
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