Photo by Daiki Miura
フレッド・アゲインと日本のストーリーがはじまった
機材トラブルでフレッド・アゲインの開演時間が大幅に遅れることがわかり、すぐさまタイムテーブルを確認し直す。この間に見たティコとSuchmosはいずれもフジロックならではの熱を帯びていて、短い鑑賞時間ながら脳裏に焼きつく名演を目撃できた。ティコは最新作『Infinite Health』からの曲は少なめだったが、まどろむようなシンセとディレイの効いたギターが疲労困憊の身体に染みわたる“Awake”など、リスナーの期待に応えるような充実のセットだった。
再始動したSuchmosは“Pacific”で静かに幕を開け、最新EP『Sunburst』のオープナーを飾る“Eye to Eye”でライブのギアを一段階上げていく。続く“DUMBO”で懐かしさに少し浸り、「7年前にやり残した曲やります」とYONCEが告げてはじまった“STAY TUNE”まで堪能。山本連をベースに迎えた新体制のSuchmosを見たのはこれが初めてだったが、以前に比べて背負うものが減り、より純粋に音楽に身を委ねている6人はとてもクールだった。

Photo by Taio Konishi
本来の開演時間から約2時間ほど遅れてスタートしたフレッド・アゲインのステージだが、時刻が23:00を迎えてもGREEN STAGEは大勢の人で埋め尽くされていた。ステージ裏から自らカメラを回し〈遅れてごめんね〉とジェスチャーするフレッドの姿がLEDビジョンに映し出される。
そのままステージに登場すると、“Kyle (i found you)”の静かなピアノの調べに乗せてビジョンには和訳付きのメッセージが投影されはじめた。〈僕の名前はフレッド〉〈日本でプレイするのは今回が初めて〉〈ここフジロックでプレイ出来るなんて光栄だよ〉――英語でも十分通じる内容のメッセージではあったが、その国の言語でしっかりと全員に届けたいという彼の強い思いが伝わってきた。そんな温かい言葉に会場全体が高揚していくと、静かに“Bleu (better with time)”へとなだれ込んでいく。
“glow”や“adore u”などシンセのフレーズをひたすら人力で再現していく。PA卓前に設置されたサブステージに移動すると最新のグライムチューン“Victory Lap”から“Jungle”“Rumble”とアップリフティングなナンバーを立て続けに投下。シンセパッドを駆使してその場で肉体的なアレンジを施していく様は、もはやDJではなく演奏家と表現したほうが適切かもしれない。
Photo by Masanori Naruse
“peace u need”では、〈I let you take the piece of me(あなたに私の一部をあげる)〉〈I hope you get the peace you need(あなたが必要とする平和が来ることを願っている)〉とフレッド自身も救われたという印象的なフレーズを観客と共有する。メンタルヘルスにも焦点を当てる彼の音楽は、感情やメッセージを表す真のダンスミュージックでもあるのだ。
後半では“leavemealone”に“Turn On The Lights again..”、“Danielle (smile on my face)”や“Marea (we’ve lost dancing)”といった代表曲をプレイ。最後は再び“peace u need”のフレーズを全員で合唱し、ステージは幕を閉じた。これまで縁遠かった日本、そしてアジアとの距離を90分弱で瞬く間に0にしてみせたフレッド・アゲインと私たちのストーリーは、まだはじまったばかりだ。
TV INFORMATION
FUJI ROCK FESTIVAL ’25完全版
放送日時
DAY1:2025年9月13日(土)19:00~24:00
DAY2:2025年9月14日(日)19:00~24:00
DAY3:2025年9月15日(月)19:00~24:00
放送チャンネル:フジテレビNEXT ライブ・プレミアム/フジテレビNEXTsmart