SixTONES “Stargaze”
(2025年)
野田がSixTONESのグループとしての歴史やメンバーの関係性をリサーチして書き下ろしたシングル表題曲。ジェシー、京本大我、松村北斗、髙地優吾、森本慎太郎、田中樹の各ソロパート、2人/6人でのユニゾンなど、ボーカル面では個々の特性と組み合わせの妙を楽しむことができる。
グループ/個人で自問自答を繰り返しながら、現状を打破するために前進するしかない、そんな覚悟に満ちた野田の歌詞は結成10周年とデビュー5周年の節目を迎えたSixTONESの生き様を見事に体現している。〈俺ら〉〈俺〉のことを歌いながらも、〈だけど誰より信じるお前らが俺に賭けてくれるからにはやらねぇ/わけにゃいかねぇ〉と突如ファンに視線を向ける瞬間もグッとくる部分だ。
打ち込みのループトラックを下に敷きながら、解放的なサビのバックで鳴るディストーションギターなど、サウンド面では野田自身が思う〈野田洋次郎らしさ〉と同時に、その〈らしさ〉から脱却していこうとする気概も感じられる。ミクスチャーな曲構成とシネマティックなサウンド、今では2つの系統をミックスした新たな系統が野田には備わっていると言っていいだろう。“Stargaze”は、SixTONESとともに野田がソングライティングにおける新境地を開拓した1曲なのだ。
TENBLANK “永遠前夜”“Glass Heart”
(2025年作『Glass Heart』収録曲)
2曲ともNetflixシリーズ「グラスハート」の劇中バンドTENBLANKの楽曲として制作された楽曲。“永遠前夜”はTENBLANKのメンバーである藤谷直季(佐藤健)と西条朱音(宮﨑優)の関係性を連想するラブソングではあるが、〈永遠〉〈命〉という言葉が頻出することで、より聴き手に切実に響くバラードとなっている。
“永遠前夜”は、世間一般が抱いているであろう〈野田洋次郎らしいバラード〉に徹底的に振り切っている。「グラスハート」のエグゼクティブプロデューサーも務めた佐藤健とはプライベートでも親交がある野田だけに、曲については具体的な要望があったのかもしれないが、1コーラス目はピアノの弾き語り、2コーラス目からTENBLANKとしてのバンドサウンドにシフトする流れという非常にドラマティックな構成だ。
“Glass Heart”は、野田の十八番ともいえるアップリフティングなロックナンバーで、「グラスハート」のクライマックスでTENBLANKが激しく演奏するシーンを思い出す人もいるだろう。天才音楽家の複雑な心情が落とし込まれた歌詞、堰を切ったかのように突如パンキッシュなビートに切り替わる部分など、野田なりの藤谷直季像が描かれている。
RADWIMPSの最新アルバム『あにゅー』がバンドサウンドに回帰した作品だったことも踏まえると、野田の中で改めてバンドというものに意識が強く向いている時期だったのかもしれない。
野田洋次郎がJ-POPシーンを豊かにしていく
本稿では野田のみが作詞作曲を手がけた楽曲にフォーカスしたが、その縛りにとらわれなければ、EMIが所有していたスタジオ〈TERRA〉の閉鎖に伴って結成されたユニット〈寺子屋〉の“EMI”(2010年)、Peterparker69とコラボした“Hey phone”(2025年)あたりでも、彼の非凡なソングライティング力に触れることができる。
そして本日リリースされたRADWIMPSのトリビュート盤『Dear Jubilee』をチェックすれば、参加アーティストそれぞれの解釈を楽しみつつ、野田の楽曲の本質的な部分が浮き彫りとなるはずだ。楽曲提供という形でなくとも、この先、野田洋次郎の紡ぐ音楽がJ-POPシーンをさらに豊かなものにしていくに違いない。

