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ヴァリエーション豊かなポップさ

 そこから一転して、続いてはゴリゴリにハードな“x”。さらに翻ってメロディアスな“ポポネポ”と、石井の曲が並ぶ。

石井「“x”はパンク寄りなんだけどルーズなタイム感じゃなくて、もうグリッドに沿ったような、ジャストで決めたいみたいな、ノリをなくしたいみたいなイメージだったんですよ。サイバーパンクとかそういう感じですかね。そんな前半から想像もつかないようなサビが来て最後すごいポップになる、そういうものを狙って作った曲です。“ポポネポ”のほうは、ダサい感じに聴こえるよう作ってますね。でも中学ぐらいまでの頃って〈ダッセー〉って思いながらも好きだった音楽がいっぱいあったから。そういう〈ダサかっこいいもの〉に対する愛着がこの曲には出てるのかな」

 そして、弥勒菩薩が降臨するとされる“5670000000”をタイトルに冠したナンバーは、作詞を石井が、作曲を村井研次郎(ベース)と桜井が、編曲を桜井が担当。壮麗なオーケストレーションに導かれるドラマティックな曲調のなか、穏やかなトーンで放たれる〈君が君であるわけがない〉というワードが強烈だ。

村井「今回は3曲ぐらい書いて、秀仁君と青さんに渡して。恐らくそれが行ったり来たりしているうちにタイトルが変わり、メロが変わり、アレンジされてこうなった感じです。ずいぶん変わったなって」

桜井「研次郎君が作ったサビは残してますよ。そのほかはもともと自分で歌詞を書くつもりでいたから、ちょっといなたいメロディーにしましたけど。構成をけっこうズッタズタにして切り貼りしてるんで、それで原型から変わったように聴こえるのかも」

石井「この曲は最後までシンセの音色に対して俺と青さんがうるさかったよね。ブラスとかストリングスとかの音を全部アナログ・シンセでわざと作ったような感じにしたかったっていう」

桜井「僕としては〈未来の次の世代へ、次の世界へ〉っていう『幻魔大戦』のイメージだったから、キース・エマーソンばりのキラキラしたシンセを入れてたんですけど、結局、石井さんと二人で提示したのは(ピンク・)フロイドでした(笑)」

村井「そういう部分を、僕のソロにも参加してくれてた諸田(英慈)君ががんばってくれて。諸田君と作業するなかで盛り上がって、オジー・オズボーンのフレーズも2箇所入れてます。ブラック・サバスの“War Pigs”だってことを青さんが知らずに弾いてるのがおもしろいです」

 ラストの3曲は、シンプルながらも切ない“素知らぬ夢の後先に”、cali≠gari流のソフトなドリーム・ポップ“グン・ナイ・エンジェル”、桜井節が全開の歌謡ロック“スクラップ工場はいつも夕焼けで”。cali≠gariのヴァリエーション豊かなポップ・サイドが続く。

石井「“素知らぬ夢の後先に”はすごい簡単なコード進行で最後まで行こうと思ったんだけど、ギターはイントロだけ同じコード進行のジャズっぽい押さえ方に変えてたり。オリジナル・ラブとか、渋谷系でよくある手法ですよね」

桜井「“グン・ナイ・エンジェル”は、石井さんの“東京亞詩吐暴威”と被らないようにダサいものを作ろうと。タイトルは相当考えましたけど、『鶴ちゃんのプッツン5』ってわかります? ああいうニュアンスです。“スクラップ工場はいつも夕焼けで”は、渡辺宙明や山下毅雄をバリバリ意識したイントロからサビ以降はロック・バンドっぽい展開にしちゃったけど、そのまま昭和のロボットアニメのエンディングテーマにできちゃいそうな曲ってことで作ってみました。こういう曲があると、cali≠gariだな〜って安心しませんか? “グン・ナイ・エンジェル”はJ-Popなメロディーをイメージして作った感じですけど、〈スクラップ〉は自分のメロだなって思います」

 そんな新作を携えて、10月からはツアーも開催。そこに向けての準備も着々と進んでいるという。

桜井「『18』の世界観でもうちょっと作りたかった曲とか、収録から溢れちゃった曲も持っていけたらいいなって。『30』の曲も4ステージしかやれてないから、それと未発表曲を『18』に混ぜつつやっていけたら、楽しいセットリストになるんじゃないかな。希望的観測なところはあるけど、実現できるようがんばります」

左から、DVD「大鉄人17 VOL.3」(東映ビデオ)、渡辺宙明によるサントラ『大鉄人17 MUSIC COLLECTION』(コロムビア)