©Zachary Gray

Love Me Different
パラモアのアイコンが独立後の初ソロ作『Ego Death At A Bachelorette Party』を完成。シングル集という位置付けの多面的なコレクションを通じて、いまのヘイリー・ウィリアムスが表現したかったこととは……

パラモアへの期待も膨らませる一枚

HAYLEY WILLIAMS 『Ego Death At A Bachelorette Party』 Post Atlantic(2025)

 ビリー・アイリッシュやオリヴィア・ロドリゴらZ世代の女性シンガー・ソングライターたちの大きなインスピレーションにもなったパラモアのヴォーカリスト、ヘイリー・ウィリアムズが3作目のソロ・アルバム『Ego Death At A Bachelorette Party』をリリース。トーキング・ヘッズの影響も消化しながらポップ・パンク~エモから進化したパラモアのインディー・ロック路線の延長上にあると言える作品だが、“Ice In My OJ”や“Hard”ではR&Bやヒップホップにアプローチ。また、表題曲はヘイリー流のスウィート・ソウルの趣も。前2作よりもギター・オリエンテッドであることに加え、ほぼロウキーに徹したヴォーカルにみずから重ねたコーラスがエモーショナルというところがおもしろい。同時リリースした17曲のシングル・ナンバーをアルバムとしてまとめる際、最後に加えたパラモア風のポップ・ロック・ナンバー“Parachute”も含め、エモ時代のパラモアが好きだったというファンでも楽しめるに違いない。実はパラモアの新作になる予定だったが、歌詞があまりにもパーソナルなものになったため、ソロとして完成させることになったのだそうだ。だったらパラモアの新作も……とリスナーに期待させるあたりも本作の聴きどころと言えるだろう。 *山口智男

 

柔軟さを増したバランスの良い楽曲集

 エクスペリメンタル・ポップ味溢れる2020年作『Petals For Armor』と、アメリカーナに接近した2021年作『Flowers For Vases / Descansos』は、いずれも意図的にパラモアと距離を置くような内容でしたが、ダニエル・ジェイムズがメイン・プロデュースを手掛けるこのソロ3作目『Ego Death At A Bachelorette Party』では、従来の少し意固地にも見えた姿勢が皆無。もしかしたらアトランティックとの長期契約が満了し、いろいろ吹っ切れたのかもしれません。全18曲のうち、映画「ロスト・イン・トランスレーション」に着想を得たというドリーミーな“Dream Girl In Shibuya”など、前2作の発展型とも言える楽曲と、バンド・サウンド主体の楽曲が良いバランスで混在。特にウィーザー系譜のギター・ポップや、パラモアの最新作『This Is Why』に収録されていても違和感ナシのポスト・パンクみたいなナンバーがソロで聴けるのは、本隊のファンにとって嬉しいサプライズなはずです。音楽ビジネスへの愚痴や失恋、人種差別について綴った歌詞だけを抜き出せば、怒りと悲しみに満ちているものの、案外、のびのび楽しんで作ったのではないかと推察。一度キャリアを総括したいま、やや気が早いけど、次の一手にも期待が高まります。 *山西絵美