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ヒット作「デーモン・ハンターズ」とK-ROCK人気の影響

今年のK-POPを語る上で外せないのが「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」だ。Netflix発の3Dアニメ映画である本作は、架空のK-POPグループHUNTR/Xの活躍を描いた、コミカルなアクションファンタジー。本作のグローバルヒットに合わせて、劇中歌“Golden”も熱狂的な支持を得た。

VARIOUS ARTISTS 『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ オリジナル・サウンドトラック』 Republic/ユニバーサル(2025)

また、傾向として、バンド~ロックアレンジの楽曲が増えつつある。2年前にリリースされたWOODZ“Drowning”の逆走(過去の曲が最新のチャートに食い込む現象)ヒット、バンドアイドルのQWER、今年でデビュー10周年となるJYP所属のバンドDAY6などが一例として挙げられる。以前からヒット曲を〈Rock Ver.〉としてバリエーションをリリースするグループはいたが、最初からコンセプトとしてロックを目指している楽曲やグループが目立ち始めている。“APT.”の大ヒットと、韓国インディー/オルタナの人気が影響しているのかも知れない。

WOODZ 『OO-LI』 EDAM/Kakao(2023)

DAY6 『The DECADE』 JYP(2025)

QWER 『MANITO』 TAMAGO/Kakao(2024)

ほか、今年リリースで印象に残った楽曲としては、
Stray Kids “Do It”
LE SSERAFIM “Come Over”
KISS OF LIFE “Lips Hips Kiss”
HWASA “Good Goodbye”
TREASURE “PARADISE”
Krystal “Solitary”
JUSTB “CHEST”
NMIXX “Blue Valentine”
RIIZE “Fame”
cosmosy “Physics~物理的な~”
CLOSE YOUR EYES “X”
などなど、グループ、ソロ、キャリア不順に挙げてみた。

 

K-POPの変化と拡張

以上、2025年のK-POPの動きを、駆け足で振り返ってきた。個人的には、f(x)“4 Walls”などをきっかけに、K-POPにハマり始めたのが2015年なので、今年で10年になる。当時は〈韓国のポップミュージック〉というそのままの意味であった〈K-POP〉だが、この数年で〈韓国のレコード会社の手法によって作られた音楽〉という意味に完全に切り替わった印象だ。ハリウッド制作でなくとも〈ハリウッド映画〉と評される映画があるように、それはジャンルではなくグローバルビジネスの一形態として確立しつつある。KATSEYE~cosmosyのような多国籍グループの存在や、産業ロックへの接近、IP~キャラクタービジネスの展開など、今年のヒット曲を眺めても、その拡張性、〈手法〉としての広まりが感じられる。

一方、昨年から始まったHYBEとミン・ヒジンの係争は、今年に入っても明確な決着を見せず、来年まで持ち越されるようだ。その影響でNewJeansもまた、引き続き活動停滞を余儀なくされている。この一件は、K-POPもまた、他の音楽ビジネスと同じく、カルチャーや表現である以前に、巨大な資本と契約に支えられた芸能産業である現実を、改めて浮き彫りにした。

※編集部注 本日12月29日、NewJeansの所属事務所ADORから発表があり、メンバーであるハニの専属契約が継続することになった。またダニエルは、専属契約を解除された。さらにADORは、ダニエルの家族1人と同社の元CEOミン・ヒジンの法的責任を追及することも明かしている

その点で、「デーモン・ハンターズ」のヒットや、PLAVEやISEGYE IDOLといったバーチャルグループが台頭しつつあるのは、自然な流れなのかも知れない。aespaのアバター展開であるaeがその先駆的存在だと思うが、アイドル本人のプライベートや実人生への負担が軽減されるという点では、このスタイルが発展する可能性は大いにある。この手のジャンルには強い日本だが、先日もYENAと初音ミクのコラボは話題を呼んだ。〈リアルかバーチャル〉の二択ではなく、どちらも行き来するような存在が増えていくのかも知れない。

K-POPのこの盛況は続くのか? とはいえどこかで臨界点を迎えるのか? 来年はどうなるのか? ……とりあえず、f(x)・KRYSTALのソロMISAMOのアルバムが楽しみなことは確かだ。

KRYSTAL (f(x)) 『Solitary』 BANA(2025)

MISAMO 『PLAY』 ワーナー(2026)