大胆すぎる構成
そして、Disc-2が『Café Bleu』の本編だ。ソウル/ファンクへの直情的な憧れはデビュー年に消化できたのか、アルバムでのスタイルはまた別方向に広がっている。とにかく冒頭からの流れはいま聴いても興味深く、オープニングはタルボット作のピアノ曲“Mick’s Blessings”で、それに続くのはウェラー弾き語りによるボサノヴァ風の“The Whole Point Of No Return”。そこからピアノとホーンを主軸にしたラテン・ジャズ調の“Me Ship Came In!”、ウェラーのジャズ・ギター・ソロも聴ける“Blue Café”とインストが続き、さらに『À Paris EP』版ではウェラーが歌っていた“The Paris Match”はエヴリシング・バット・ザ・ガールのトレイシー・ソーンとベン・ワットに主役を委ねたヴァージョンで収録(先述の“The Whole Point Of No Return”はワットが歌う想定だった)。“My Ever Changing Moods”もシングルとは違ってピアノ伴奏のみの別テイクとなる。そして物騒なタイトルの“Dropping Bombs On The Whitehouse”はこれまたインストでホワイトのドラムが冴えるハード・バップ・ナンバー。以上のA面では、ウェラーがフロントから一歩引いてジャズ主体の洗練と成熟に腐心した印象だ。
それに対してB面は、ディジー・ハイトなるMCが主役のプリミティヴなラップ・チューン“A Gospel”(プログラミングはピート・ウィルソンが担当)、ほぼワンフレーズで押す性急なシンセ・ファンク“Strength Of Your Nature”、と躍動感を増して迫る。後者からはライヴでカヴァーしていたファンカデリックへの憧れも顕著だ。その後はブルーアイド・ソウル的な風情のスロウ“You’re The Best Thing”、軽やかなカントリー・ソウル調の“Here’s One That Got Away”、タルボット〜リーと歌い繋ぎながらフル・バンドで再演した“Headstart For Happiness”が続き、ラストはMG’sっぽいインストの“Council Meetin’”。スタイルの振り幅もさることながら、全13曲のうちインストが5曲、ウェラーの歌唱は6曲のみという構成は、改めて大胆というほかない。なお、Disc-3には、アルバムから『Groovin’ EP』としてシングル・カットされた“You’re The Best Thing”(全英5位)の複数ヴァージョンとカップリングの“The Big Boss Groove”などがまとめられている。