音楽の記事が中心のMikikiですが、作家や写真家、映像作家、漫画家、演劇関係者など関わってもらう方は多種多様。そこで、音楽関係以外の表現者のみなさんが好きな音楽は?という興味からスタートさせたのが連載〈My Favorite Songs〉です。毎回、1人の選曲者が設定したテーマと、それにもとづく3曲以上の選曲を記事化。〈あの人がこの音楽を好きだったんだ〉という発見や、音楽とほかのカルチャーのクロスオーバーを楽しんでもらえたら幸いです。第16回は、主演・共同企画映画「サンタクロースたちの休暇」が公開された俳優の倉里晴さんが登場。 *Mikiki編集部

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選曲によせて

こんにちは。倉里晴(くらりはる)といいます。

5月2日より、共同企画と主演を務めた長編映画「サンタクロースたちの休暇」(澁谷桂一監督)が劇場公開されることとなりました。

軽妙洒脱なフランス映画を日本でつくってみたい。と監督に話を持ちかけて共同で企画した作品で、遊び心と軽さと、チャーミングさがある、楽しい、冬のバカンス映画です。きっとみてくれる人のことを想いながら、表現も人柄も、素敵な個性があって、魅力的な方々と一緒につくった映画です。

今回は、どんな映画にしたいかを監督やメンバーに共有するときに思い浮かべた曲の中からいくつかをご紹介したいと思います。曲をきいたときの印象で選んでいます。そのため、歌詞はよく分かっていない洋楽です。よろしくお願いします!

 

New Order “Age Of Consent”
​(1983年作『Power, Corruption & Lies』収録曲)

NEW ORDER 『Power, Corruption & Lies』 Factory(1983)

ニュー・オーダーをきくと、なぜだかわからないけど泣きたい気持ちと嬉しい気持ちとが混ざって、気持ちが高まって踊りたくなります。

わけもわからず、感情を揺さぶってくれるものが好きです。映画でも音楽でも演劇でも。

「サンタクロースたちの休暇」では、カシオトーンの自動伴奏に合わせて、バンドで演奏するシーンがあるのですが、ニュー・オーダーみたいな感じにしたい。とお願いしました。

上手じゃなくても、ばらばらでも、きいていて愉快な気分になる演奏になりました。評判もいいです。ぜひ音楽ファンの方にも聴いてもらいたいです。

 

Labyrinth Ear “Humble Bones”
​(2012年のEP『Apparitions』収録曲)

冬の夜のマジカルなイメージがあります。

その下で、ささやかに話すように、でもたまに、切実な声でどこかに向けて歌っている感じ。

外で触れる夜の神秘的な空気が好きなんだと思います。だから夜の空気を纏うこの曲が好きなのかもしれません。

「サンタクロースたちの休暇」では、出逢った3人が寒い冬の夜の屋上で過ごす場面があります。

その人たちは多分何かを抱えていて、それでも今一緒にいる人と特別に煌めく瞬間、目の前のことを信じられて、そういうときにする願いの言葉は、澄んだ夜空の下だときっとどこまでも届いていく気がします。

 

Pale Saints “Sight Of You”
(2023年作『The Comforts Of Madness
』収録曲)

PALE SAINTS 『The Comforts Of Madness』 4AD(1990)

大好きな曲です。世の中も自分のこともいっぱいいっぱいで何もわからなくて、体も心も1箇所に留まってしまって、音楽もうまくきけないような気持ちになってしまうこともありますが、これをきくと元気になります。映画のラストとかに流れたら最高だろうなって思っています。

「サンタクロースたちの休暇」のエンドロールはこの曲ではないけれど、でもこの曲をきいたときの気分となんとなく近いものがある気がしています。少し目の前が明るくなるというか。大丈夫な気がしてくる。

バカンスなんて手の届かないもののような気がしてしまうからこそ、映画館へ足を運んでもらって、映画が終わるまでのひととき、気楽に楽しんでもらいたい、思ったよりは身近で短な冬のバカンス映画です。気持ちが軽くなるような、少し先に仄かな希望を持てるような。なんか最高だったって思ってもらえたらいいな。

 


MOVIE INFORMATION
サンタクロースたちの休暇

両親に先立たれ、街の自販機に何故か残されたお金を拾って暮らすあいこの豪邸に、アガサと名乗る家出少女が転がり込んでくる。そこへある切実な想いを持つ男・ボブも加わり始まった三人の冬の日々。それぞれの悩みと祈りを抱えながら寄り添いあうみじかい冬のバカンスを、クリスマスを終えたサンタクロースはミニカーの中からずっと見守っていた。

■予告編

出演:倉里晴/亀田梨紗/金内健樹/長田真英/波世側まる/河原隆乃介/澁谷桂一
監督・脚本・撮影・編集:澁谷桂一
照明:志水あみ
録音:太田志帆
衣裳:倉里晴
美術:長田真英/倉里晴/太田志帆
助監督:太田志帆/長田真英
音楽:肉汁サイドストーリー
宣伝美術:福西想人
企画:倉里晴と山河図
制作:シャーレ

■劇場公開情報
東京/池袋シネマ・ロサ:2026年5月2日〜2026年5月15日
詳細・チケット予約はこちら:https://www.cinemarosa.net/indies/santa/

大阪/十三シアターセブン:2026年5月16日〜2026年5月22日

詳細ページ:https://sangazu-works.tumblr.com/2025_1

 


PROFILE: 倉里 晴
俳優。福岡県出身。邦楽は、幼少期からずっと同じ好きな人がいる。洋楽だと、シューゲイザーが好き。上京後、小劇場演劇で俳優としての活動を始め、近年は自主制作映画の企画と出演も行う。共同企画&出演作「ワンダリング・メモリア」(金内健樹監督)が、第47回ぴあフィルムフェスティバル PFFアワード2025とうえだ城下町映画祭 第23回自主制作映画コンテストに入選。共同企画&出演作「サンタクロースたちの休暇」(澁谷桂一監督)が、十三下町映画祭2025 シアターセブン ナナゲイ賞とうえだ城下町映画祭 第23回自主制作映画コンテスト 古厩智之賞を受賞。2026年5月に東京と大阪で劇場公開される。他にも主な出演作に、「誘拐志願」(三浦賢太郎監督)や、経済産業省主催クリエイター支援プログラム〈創風〉採択のオムニバス映画「みなとく!」の一編「菌」(畔柳太陽監督)がある。
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