15年ぶりの〈フジロック〉を控える5人組から届いたEPに咲く、そのあとの人生!!!!!

 インディー・ロックやソウル、エレクトロにチェンバー・ポップなど、同時代に鳴らされる多彩な音楽からの刺激を昇華したブライトフルな楽曲が、多くのリスナーを魅了してきたRiddim Saunter。2011年に〈新しい場所に進むため〉と前向きな理由で解散を選んだメンバーたちはその後、Keishi Tanaka、KONCOS、LEARNERSなど各自の道を歩んできた。そんな5人が14年ぶりの再結成をアナウンスしたのは昨年5月のこと。BRAHMANが11月に開催した結成30周年イヴェント〈尽未来祭2025〉への出演を皮切りに、1年間の期間限定で活動することを発表した。

 「BRAHMANのTOSHI-LOWさんには〈20周年〉のときも誘ってもらったんです。そのときには断ったのに、また声を掛けてくれて。ちょうど考えも変わってきたというか、〈絶対にやらない〉とか思考停止もよくない気がしていて、そんなタイミングで良いパスをいただけたんです」(田中啓史、ヴォーカル)。

 「これは断ることではないな、Riddim Saunterとしてお祝いしようよ、と全員が同じ気持ちになりました。ただ、いまも〈再結成〉という感覚はなくて、解散してはいるんですよね。1年間だけ、やると決めたからにはとことんやる――その途中という感じです」(古川太一、ドラムス)。

 そこで彼らが決めたことのひとつは、日本各地のライヴハウスを回るツアー。現在、全国24か所を駆け巡っている。

 「Riddim Saunterはたくさんライヴをしていたバンドだし、僕らのやり方はいまもこれ、という感覚はあります。それぞれの生活があるので、今回は週末が中心というペースも新鮮ですね」(田中)。

 「1年間で何をやるか?と考えたとき、文化を残す/文化を再確認する、みたいなことができるかなと思ったんです。もともと足で回ることや、実際に会うことを大事にしてきたから、改めてそういう良さをいろんな人と感じ合えるようにしたいなと。CDや7インチを出すのも同じ考えが根っこにあります」(古川)。

 このたびリリースされるEP『Seasons of Love』は、その想いを結晶化させた作品だろう。今年の3月から5週連続で配信されてきた5曲に、室内楽的なインストの“Intro”“Outro”を加えた7曲を収録。注目すべきは、5人が1曲ずつソングライティングを担ったことだ。

 「〈尽未来祭 2025〉で新曲を演奏しようとなり、僕が持っていった“Seasons of Love”をバンドで完成させたんですけど、そこで〈1人1曲作る〉というアイデアが浮かびました。解散以降のみんなの人生とバンドが繋がるし、ちゃんと音楽として残る。それでRiddim Saunterを終えられるような気がしたんです」(古川)。

 パーカッシヴなリズムの上を華やかにホーンが舞う“Seasons of Love”には、このバンドらしい色鮮やかさと多幸感が広がっている。古川のピアノと仮歌を元に肉付けしていったそうだが、その制作は難産でもあった。

 「解散前の僕らは時々のムーヴメントなどに寄り添いながら音楽を作っていたけど、その頃みたいな音楽の聴き方をいまはしていないし、じゃあどこから作っていこう?と」(古川)。

 「太一が珍しく歌詞も書いてきたことで、作品のコンセプトがはっきりした印象です。僕が書いた“Makin' A Life”はラテンなアレンジをイメージしていたけど、バンドで合わせるとディスコっぽくなった。歌詞では、最後のアルバム『Days Lead』の最終曲が“What Comes After The Parade”だったので、〈パレードのあとに来たもの〉を考えて書きました。必然的に暮らしの話になりましたね」(田中)。

Riddim Saunter 『Seasons of Love』 Niw!(2026)

 それら2曲を序盤に据えたEPでは、 トランペットの本間寛人によるインストの小品“Theme from Kite”を挟み、ベースの浜田将充が作ったニューウェイヴ・ファンク“Here and There”、ギターの佐藤寛がビートリッシュなサイケ感という新機軸を打ち出した“Lights”が続く。メンバーいずれもが自然と、Riddim Saunterが示してきたものと解散以降の道のり――その双方を讃えるかのような言葉を紡いでいるのが印象的だ。

 「過去の僕らは英語で歌っていたから、今回、歌詞が日本語になったのは大きな変化のはずなのに違和感はない。それは僕も含めて各人が日本語の曲に取り組んできた14年間があるからだと思います。その面でも止まっていなかった」(田中)。

 「このEPの曲はかなりロックだと感じているんですよね。曝け出していて、そのまんまというか。何かに寄せるとかもないし、もう全裸みたいな(笑)」(古川)。

 「昔はカッコつけていたし、尖っていたところもあったけど、そこはもうないよね。その一方、いまのほうが初期の曲も抵抗なく演奏できているんです」(田中)。

 「それは、この5曲が出来たからだと思うよ。〈いまはこうだよ〉というのが提示できたので、過去を開き直って肯定できている」(古川)。

 そう堂々と胸を張るバンドは、ツアーの合間に今年の〈フジロック〉に登場。解散する直前に出演した〈WHITE STAGE〉にふたたび降り立つ。

 「やっぱり〈フジロック〉は特別なので、15年後にまたオファーしてくれたのはすごく嬉しいこと。しっかりやんないと、と思っていますね」(古川)。

9月2日にリリースされるRiddim Saunterの作品。
左から、7インチ“Seasons of Love”、2009年作のカセットテープ『Days Lead』(共にNiw!)

メンバーの関連作を一部紹介。
左から、Keishi Tanakaの2025年作『Like A Diary』(HIP LAND)、KONCOSの2018年のEP『The Starry Night』(AWDR/LR2)、LEARNERSの2020年作『Hello Stranger』(KiliKiliVilla)