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フレッシュな原点回帰

 以降のウィーザーは国内外にコアなファンベースを構築して大物バンドとしてのポジションを磐石のものとしている。2001年にマイキーが脱退してからは後任のベーシストにスコット・シュライナーを迎え、当初サポート扱いだった彼もスムースに正式加入。それ以来20年以上もバンドの体制は磐石であり、その結果としてツアーやアルバム制作もコンスタントなペースで行われるようになっている。ただ、そうやってリリースが積み重なるたびに〈C.E.O.〉はやはり悩んでいたということなのだろう。外部のソングライターを積極的に起用したり、意外なプロデューサーとマッチングしてみたり、コンセプトを設けたり、HR/HMをやってみたり、クラシック音楽にアプローチしたり……それでも作品は常に過去の作品と比較される。〈同じことばかりやっているわけにはいかない〉というのはリヴァースの本音だろうし、〈みんなに望まれることに応えたい〉という気持ちも嘘ではないはずだ。それでも……というジレンマが“C.E.O.”から滲んでいたのは言うまでもない。

 が、にもかかわらずニュー・アルバムが原点回帰のモードになっているのは、やはりそれがちょうど自分たちのやりたいことと一致していたからでもあるのだろう。それに加えて、〈Blue Album〉のころと違うのは、先述したようなソングライティング体制の変化やレコーディング環境の変化もある。4人が集まって楽曲の基礎を作り上げ、その場で顔を合わせて微調整しながらライヴ録音の形式で楽曲を形にしていくという作業は、長らくバンドに欠けていた部分でもあったようだ。それゆえにこちらが考える原点回帰とは違う意味において現在の彼らがフレッシュな気持ちを取り戻しているのは間違いない。

 また、クラス・アールンドとケネス・ブルーム(ケニー・ビーツ)という初顔合わせのプロデューサーの存在も大きかったようだ。クラスが緻密で計算された厳密なレコーディング手法をとる一方で、〈史上もっとも凶暴なウィーザーのアルバムを作りたい〉と意気込んでいたというケネスは、〈部屋で鳴らすロック・バンド〉のフィーリングを引き出すプロダクションを追求し、グリッドも、クリック音も、ピッチ補正も一切なしという徹底ぶりで生々しいウィーザーの姿を録音することに成功している。ウェンズデイのカーリー・ハーツマンを迎えた“We Might As Well Be Strangers”という収穫もあって今回のウィーザーは期待通り、かつ期待以上のフレッシュなサムシングも備えている。これはもう楽しむしかない!

左から、マット・シャープが発掘したウィーザーの初期デモ音源集『1192』(Ernest Jenning)、“We Might As Well Be Strangers”に客演したウェンズデーの2025年作『Bleeds』(Dead Oceans)、ケニー・ビーツの2022年作『LOUIE』(XL)