前作『たからじま』が最高だという思いはもちろんいまも変わらないが、それにしてもこの飛躍っぷりには驚いた。あれから1年半の間に、どうやらシャムキャッツはさらなる成長を遂げてしまったようだ。16ビートを基調としたリズムと洒落たコード・ワークはアズテック・カメラがヒントになったそうだが、それは結果的としてBPMは控え目ながらも疾走感抜群のグルーヴをバンド・アンサンブルに与え、曲中の感情表現からはより細やかなニュアンスが感じられるようになった。架空の物語を展開させながら現在の日本を寓話的に描いていく夏目知幸のリリックも含めて、収録曲すべてに多面的な視点と創意工夫が見られるのもたまらない。2014年を代表する一枚になるのは間違いないと思う。