コラム

BOMI 『BORN IN THE U.S.A.』

コケティッシュ&スタイリッシュなニューウェイヴ・サウンドと共に自身を葬り、フレッシュに再生させた彼女の新たなストーリー!

BOMI 『BORN IN THE U.S.A.』

 小文字のbomiから大文字のBOMIへ――1年7か月ぶりの新作『BORN IN THE U.S.A.』は、その改称や、自身の墓碑に花を手向けるアートワークが物語るように、これまでの活動にひとつの区切りをつけ、ここから新たに歩みはじめんとする意味合いが込められたコンセプチュアルな作品だ。楽曲と楽曲の間にはインタールード的な6つのダイアローグが挿入されており、終焉と再生にまつわる物語が、彼女らしい脱力したタッチによるショート・コント仕立てで展開されている。

BOMI BORN IN THE U.S.A. バッドニュース(2015)

 とは言え〈ボーミはボーミ〉と言うべきか、その音楽性がまったくの別物になっているというわけではない。アルバムの軸を成しているのはやはり、デビュー以来彼女が培ってきたニューウェイヴィーなテイストだ。ただ、かつてのパンキッシュなビート感は後退し、腰の据わったグルーヴのほうが前面に押し出されている印象を受けるし、そこが本作の特色とも言えるだろう。

 津野米咲赤い公園)のペンによる“月曜のメランコリー”は、プログレ気味のアクロバティックな展開が小気味良いスピーディーなナンバーだが、そのアンサンブルにはハマ・オカモトOKAMOTO'S)のベースによってファンクネスが注ぎ込まれている。同じくハマ参加の“瞬くスピードで”は、ギター・カッティングがキラリと光るミッドテンポのファンク・ポップ。“フライデーナイトバタフライ”は往年のユーロビートを思わせるサウンドでコーティングされたディスコ・チューンで、直球のダンス・ミュージックと言って差し支えない仕上がりだ。

 そんな本作を象徴する曲を選ぶとすれば、終盤に配された“さよならミゼラブル”かもしれない。先行配信されたこの曲は、別れの光景を描いた美しくも切ないバラードなのだが、いわゆるビート・ミュージックにも通じるような手触りの変則的な高速ビートが敷かれている。このアプローチが、BOMIの視線、その見据える先を示しているようにも思えるのだ。

 ニューウェイヴが内包するファンクの要素に目を向けたのか、あるいはいまだ続くダフト・パンク以降のディスコなモードへの接近なのか――ともあれ、このBOMIのトライアルは絶対的にアリだし、すこぶるおもしろい。ナチュラルな変化が刻まれた本作は、従来のファンも、新たなリスナーも、等しく魅了するはずだ。

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