フランス人サックス奏者オリヴィエ・ボーゲのセカンドリーダー作にして、現代ジャズを象徴する傑作が登場! 異端児ティグラン・ハマシャンが参加している点でも心躍る本作だが、さらに重要なのはこの圧倒的な完成度の高さ。ゆるやかで抽象的なメロディは重力に逆らって空間を彷徨い、ふと気付いた瞬間には聴き手の心に自然と残留する不思議な質感を持つ。そこに対してリズム隊は相反するかの如く、ジェフ・バラードが持ち込んだであろう先鋭的なアプローチで場を煽り続ける。ショーター~ハンコックからメルドートリオを経由した末にジャズが辿り着いた、今を生きる新主流派の新境地。