THE NEWEST ERA
[ 特集 ]2015年のヒップホップ・スタンダード
年明けから話題作が立て続けに届き、またまた熱を帯びるUSヒップホップの世界。各々の魅力に溢れたカラフルキャラクターを紹介していきましょう!

 


 

『To Pimp A Butterfly』のグルーヴを支えた面々

 ケンドリックの新作に対する最初の驚きは、ネタ使いからも同時代のインディーな質感を湛えていた前作の聴き心地からの完全なる変貌にあった。それゆえに参加メンツの豪華さも後付けの衝撃には違いないのだが……フライング・ロータスがプロデュースした冒頭曲“Wesley's Theory”からのドス黒い勢いが異質な魅力を溢れさせてくるのは確かだ。ただ、クレジットを見ると、核となっているのはサンダーキャット(ベース)とテラス・マーティンで、演奏家たちも彼らを軸に集まったと捉えることができそうだ。

【参考動画】サンダーキャットの2013年作『Apocalypse』収録曲“Tenfold”
【参考動画】テラス・マーティンの2013年作『3ChordFold』収録曲“Angel”

 

 この2名の共通点と言えばスヌープ・ドッグとの旧縁になるわけで、なかでもテラスは現在のようにキーマン視される前からマーロン・ウィリアムズ(ギター)やジョセフ・レインバーグ(トランペット)らとスヌーパデリックスの一員を務めたこともあり、彼ら全員がウェッサイ系ではお馴染みの敏腕プレイヤーであった。以前からその輪にカマシ・ワシントンがいたことも含め、『To Pimp A Butterfly』の布陣は西海岸のヒップホップでは常道ともいえるメソッドに回帰したものと見なすこともできるのかもしれない。

【参考動画】スヌープ・ドッグの2004年作『R&G(Rhythm & Gangsta): The Masterpiece』収録曲
“Ups & Downs”
【参考動画】カマシ・ワシントンの2015年作『The Epic』収録曲“Re Run Home”

 

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