美しいだけの女性ならこの世に五万といるかもしれない。しかしその美しさを、「表現」を通じて無限に広げ、世界に発信し続けられた女性は、彼女を措いて他にいるだろうか。アジア人初のトップ・モデルとして華々しい功績を上げながら、アングラカルチャーや音・映像などとコラボレーションし、表現者としての名声も確固たる物にした山口小夜子東京都現代美術館での同名の展覧会と共に、多数の写真資料を収録した本誌で彼女の軌跡を追う。「着るというのは表現だ」、そんな事を改めて思い知らされる。一頁めくるごとに現れる鮮烈な表現を目の当たりにし思う、彼女はやはり「未来を着て」いたのだと。