夏フェスは全国で数多いが、その中の最老舗は今年25回目を迎えるスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドだ。富山県南砺市で行なわれるこの市民参加型イヴェントは、規模の面でも出演者の多様性の面でも、日本最大のワールド・ミュージックのフェスティヴァルで、韓国、沖縄、東京でも提携イヴェントが行なわれている。
東京でのスキヤキ・トーキョー開催は今年5回目を迎える。出演者は、シェイク・ロー(セネガル)、アウレリオ・マルティネス(ホンジュラス)、チガナ・サンタナ(ブラジル)、ベカオ・カンテット(マリ)、クアトロ・ミニマル(メキシコ/韓国/日本)、キウイとパパイヤ、マンゴーズ(日本)の予定。規模こそ南砺市より小ぶりだが、エッセンスを凝縮したような顔ぶれだ。
シェイク・ローはアフリカのセネガルを代表する国際的なスーパー・スター。今回はマリのウム・サンガレ、レバノンのイブラヒム・マーロフ、ブラジルのフラヴィア・コエーリョら多彩な顔ぶれが参加した5年ぶりの最新作『Balbalou』をたずさえての来日になる。セネガルの音楽はリズムにしても歌声にしてもシャープでアグレッシヴに押してくるものが多いが、彼の音楽はクールなシャープさと芳醇な味わいを兼ね備えているのが魅力。ポップな曲作りにも定評がある。往年のオーケストラ・バオバブのようにゆったりとしたスケールの大きいライヴを期待したいところ。
アウレリオ・マルティネスの出身地ホンジュラスは、南北アメリカ大陸を結ぶ中米に位置する国で、アフリカ系の逃亡奴隷の子孫ガリフナの文化が残っている。アウレリオはそのトップ・スター。『ランディニ』が昨年ヨーロッパで大ヒットした。アフリカ的なリズムと中米的な哀愁の歌の組み合わせが琴線をくすぐる。同国ではアフリカ系初の国会議員としても活躍している多才な人だ。
ベカオ・カンテットは西アフリカの多民族国家マリのさまざまなルーツを持つミュージシャンが集まったスーパー・グループ。伝統的にはありえなかった楽器を組み合わせて、現代的なポップスを作り出している。マリのマンデ系のポップスに多いハイトーンの歌ものから、リズムの組み合わせに重点を置いたものまで、曲調も多彩。20世紀のワールド・ミュージックのブームで国際的に活躍しはじめたサリフ・ケイタやトゥマニ・ジャバテとは異なる方法論を持つ人たちがようやく育ってきたということだろう。
他の出演者も一芸に秀でたアーティストがそろっている。今回のスキヤキ・トーキョーは、アフロ・ルーツ音楽の最新の動向にふれられる絶好の機会だ。
LIVE INFORMATION
スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド
○8/21(金)~23(日)
会場:南砺市福野文化創造センター「ヘリオス」、南砺市園芸植物園「フローラルパーク」ほか
出演:アウレリオ・マルティネス/ベカオ・カンテット/スキヤキ・スティール・オーケストラ/シェイク・ロー/クアトロ・ミニマルwithアルトゥロ・ロペス・ピオ/チガナ・サンタナ/フロレンシア・ルイス&ロス・オンゴス・オリエンタレス/松田美緒/バッキバ
sukiyakifes.jp/
スキヤキトーキョー2015
○8/25(火)会場:渋谷WWW 18:30開場/19:30開演(3日間共通)
出演:シェイク・ロー/アウレリオ・マルティネス
○8/26(水)会場:渋谷WWW
出演:チガナ・サンタナ/ベカオ・カンテット
○8/27(木) 会場:月見ル君想フ
出演:クアトロ・ミニマル/キウイとパパイヤ、マンゴーズ
sukiyakitokyo.com/