[緊急ワイド]永遠にマライア・キャリー
天使に休息の日は訪れる? 激動の日々はまだまだ続くのか? それでもひとつ確かなのは、彼女がこれからも歌い続けていくということ。デビューから25年を経て、時代も一巡した。古巣のレーベルに帰ってきたマライア・キャリー、永遠の歌はまたここから響き渡る

 


 

 Discography 2001-2014

MARIAH CAREY Glitter Virgin(2001)

これはいまこそ再評価されるべきブギーでディスコで80sファンクな一枚、とか言っとく。レーベル移籍作にもなった自身の主演映画のサントラ。前作で起用したジャム&ルイスをそのままメインに据え、まさに当時の彼らが手掛けたシェレール曲をカヴァーするなど、楽しい80'sムードを賑々しく再現している。キャミオ“Candy”をネタに本家も招いた快曲“Loverboy”は全米2位になるも、R&BチャートではNo.1を記録。改めて聴くと流石のセンスだ。

 

 

MARIAH CAREY Charmbracelet Island(2002)

 ジャム&ルイスやデュプリランディ・ジャクソンらが援護し、オーセンティックな歌に回帰したアイランド移籍作。USではヒットが生まれずオワコン扱いされた時期の一枚ながら、先行カットの“Through The Rain”やデビュー曲を彷彿とさせる“My Saving Grace”などのシンプルな歌い口が美しい。デフ・レパードのバラード激唱から、キャムロンのヒットをすぐジャックした“Boy(I Need You)”までを行き交う振り幅があってのマライアらしさだ。

 

 

MARIAH CAREY The Emancipation Of Mimi Island(2005)

LA・リードが総監督に就任。バウ・ワウを復権させて絶好調だったデュプリがメイン・プロデューサーとなって、隅々までが作り込まれた起死回生の大傑作。5年ぶりの#1にして14週チャートの頂上に居座った極上のスロウ“We Belong Together”をはじめ、歌い上げすぎずにセンシティヴで複雑な歌唱フロウを中心に、新たな魅力を全開にしている。“Don't Forget About Us”も#1に輝いたほか、スヌープトゥイスタとのコラボも絶妙。

 

 

MARIAH CAREY E=MC2 Island(2008)

リアーナで当てたドリームを起用しての“Touch My Body”が#1を記録して好調を維持。T・ペインダミアン・マーリージーズィら個性的なヴォーカル・フロウの持ち主を招いて、自身の凝った歌唱で螺旋に引き込む万能ぶりは過去最高に傑出している。デンジャスウィズDJトゥーンプらとの意欲的な共同プロデュースにも取り組み、スターゲイトとの“I'm That Chick”ではマイケル・ジャクソンを歌い込む場面も。父に捧げた“Bye Bye”は泣ける。

 

 

MARIAH CAREY Memoirs Of An Imperfect Angel Island(2009)

いつにないハイペースで届いた1年ぶりの作品で、核となる部分をトリッキー・スチュワート&ドリーム絡みの曲に委ねたチャレンジングな作りで、エミネムを口撃した“Obsessed”なんかもありつつ、新婚ムードもあり、一方で恩人MJ追悼の思いも交じって、さまざまに解釈できそうな内容だ。久々のビッグなカヴァーとなるフォリナー“I Want To Know What Love Is”もいいが、ジョデシィビギーの引用にもハッとさせられる。

 

 

MARIAH CAREY Merry Christmas II You Island(2010)

 90年代ばりのハイペースで届いた3年連続のアルバムは、自身2作目となるクリスマス・アルバム。本人言うところの〈フェスティヴ〉な意識と厳かな気分が混じったホーム・パーティーのようで、オペラ歌手でもあった母親のパトリシアを初めてフィーチャーしているのも意味深い。本作の発表と同時に妊娠を発表したマライアはビーバーのクリスマス盤やトニー・ベネットのデュエット企画と、ママらしく品のいい(?)仕事に専念していくことに。

 

 

MARIAH CAREY Me. I Am Mariah... The Elusive Chanteuse Island/ユニバーサル(2014)

アリアナのような直球フォロワーも登場するなかでマイペースに休養を続け、実に5年ぶりとなったオリジナル・アルバム。レトロ・ソウルというよりはオールディーズ的な甘みも湛えたミゲルとの“#Beautiful”や素朴な歌い口の“You're Mine(Eternal)”、ワーレイとのディスコ・ファンクなど絶品のマライア節が迫ってくる力作だ。ナズR・ケリーメアリーJら大物ゲストも珍しく多いが、これでアイランドを離れることに。